新星は死ぬ前の星ですが、なぜ「新しい星」と書くのでしょうか。
星は死ぬ前に明るく輝きますが、それを「超新星爆発」といいます。実は昔、超新星爆発の輝きは星の死とは認識されておらず、その明るさから「星が生まれた!」と思われていました。当時の呼び方がそのまま使われているわけです。
これまではその爆発の輝きも、通常数ヶ月で消えるのが常識だったのですが、最近50年以上も爆発を続けている不思議な星「iPTF14hls」が観測されました。
「この超新星は、我々の知識や常識を見事に覆した」と、サンタバーバラ大学とラスカンブレス観測所の筆頭著者であるラヤー・アルカビは述べています。
「これは恒星の爆発を10年間研究した中でも最大の謎です」
https://www.nature.com/articles/nature24030
何度でも生き返る!? 奇妙なゾンビ星
新星が消える時、ほとんどの大きな星はブラックホールに崩壊するか、もしくは明るく輝いて燃え上がり、その数ヶ月後には消えてしまいます。
そのためiPTF14hlsが50年前に爆発し、2014年に再び爆発してなお存在することは、とても奇妙な現象でした。さらに、この星は現在も爆発を続けており、今日でもその残骸を見ることができるというのです。
天文学者が初めてiPTF14hlsを発見した2014年9月には、それは普通の星と考えられていました。しかし数ヶ月後、ラスカンブレス観測所の天文学者たちは、これまでに見たことがない現象を目の当たりにしました。
iPTF14hlsは、一時消えそうになりながらも、再度明るく輝きはじめたのです。研究者たちが観測をつづけると、その超新星はゾンビのように、激しく衰退と回復を2年間の間に5回繰り返していました。
天文学者が過去のデータを調べ、1954年に同じ星が爆発した事実を発見すると、半世紀後の今まで存在しつづけているゾンビ星の話は瞬く間に注目されることになりました。
研究によると、この星はおそらく太陽よりも50倍大きく、これまでに発見された星の中でもiPTF14hlsは最も巨大な恒星の爆発であろうと予想されます。
LCO超新星グループのリーダー兼研究の共著者であるアンディ・ハウェル氏は、「この爆発は初期の宇宙でしかみられず、今日ではこのような活動は停止しているはず」と述べています。
「これは、今日恐竜が生きているのを発見したようなものです。発見した場合は、本当にそれが恐竜なのかを疑問に思うでしょう」