田舎育ちはナビゲーションスキルが高い
通常、ナビゲーションスキルは成人期の初期から年齢と共に低下します。
つまり、30歳と40歳を比べると、30歳の方がナビゲーションスキルは高いのです。
では、この年齢による能力差を覆す要素はあるのでしょうか?
研究チームは、シー・ヒーロー・クエストをプレイした38カ国の約40万人のデータを利用して、ナビゲーションスキルに影響を与える他の要素を調査しました。
その結果、現在の居住地は、ナビゲーションスキルに影響を及ぼさないと判明。
しかし生まれ育った環境(幼少期の環境)は、成人した人々の能力に影響を与えると分かりました。
曲がりくねった道が多い「田舎育ちの人々」は、区画整理されて格子状の道が多くなった「都会育ちの人々」よりも、平均してナビゲーションスキルが高かったのです。
そしてこのスキルの差は、5年間の年齢差を埋めるほどでした。
田舎育ちの人は年齢を重ねてスキルが衰えても、まだ都会育ちの人と同じレベルだったのです。
ちなみに、都会育ちは「格子状に区画整理された地域のナビに特化している」わけでもないようです。
格子状マップでのゲーム結果も比較されましたが、都会育ちは田舎育ちよりも「やや得意」な程度だったのです。
総合的に考慮すると、やはり田舎育ちは、はるかに高いナビゲーションスキルをもっていると言えます。
さて、これらの結果は認知症の研究から派生して得られたものですが、「田舎での生活が認知症予防に役立つ」とは結論づけられません。
認知症の予防に結び付けるには、さらなる研究が必要とのこと。
今のところ、「見知らぬ土地での道案内は、田舎育ちの人に任せる」くらいに考えておきましょう。