曲がりくねった道が多い田舎で育つと、ナビゲーションスキルが高まる
曲がりくねった道が多い田舎で育つと、ナビゲーションスキルが高まる / Credit:Depositphotos
psychology

田舎育ちは都会人より「ナビゲーションスキルが高い」と判明! (2/2)

2022.04.06 Wednesday

前ページ発端は「認知症の研究」だった

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田舎育ちはナビゲーションスキルが高い

成人のナビゲーションスキルは育った環境の影響を受ける
成人のナビゲーションスキルは育った環境の影響を受ける / Credit:Depositphotos

通常、ナビゲーションスキルは成人期の初期から年齢と共に低下します。

つまり、30歳と40歳を比べると、30歳の方がナビゲーションスキルは高いのです。

では、この年齢による能力差を覆す要素はあるのでしょうか?

研究チームは、シー・ヒーロー・クエストをプレイした38カ国の約40万人のデータを利用して、ナビゲーションスキルに影響を与える他の要素を調査しました。

その結果、現在の居住地は、ナビゲーションスキルに影響を及ぼさないと判明。

しかし生まれ育った環境(幼少期の環境)は、成人した人々の能力に影響を与えると分かりました。

曲がりくねった道が多い「田舎育ちの人々」は、区画整理されて格子状の道が多くなった「都会育ちの人々」よりも、平均してナビゲーションスキルが高かったのです。

(左)ロンドンにある複雑な道路, (右)ニューヨークにある格子状の道路
(左)ロンドンにある複雑な道路, (右)ニューヨークにある格子状の道路 / Credit:Hugo Spiers(UCL)et al., Nature(2022)

そしてこのスキルの差は、5年間の年齢差を埋めるほどでした。

田舎育ちの人は年齢を重ねてスキルが衰えても、まだ都会育ちの人と同じレベルだったのです。

ちなみに、都会育ちは「格子状に区画整理された地域のナビに特化している」わけでもないようです。

格子状マップでのゲーム結果も比較されましたが、都会育ちは田舎育ちよりも「やや得意」な程度だったのです。

総合的に考慮すると、やはり田舎育ちは、はるかに高いナビゲーションスキルをもっていると言えます。

さて、これらの結果は認知症の研究から派生して得られたものですが、「田舎での生活が認知症予防に役立つ」とは結論づけられません。

認知症の予防に結び付けるには、さらなる研究が必要とのこと。

今のところ、「見知らぬ土地での道案内は、田舎育ちの人に任せる」くらいに考えておきましょう。

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