発端は「認知症の研究」だった
今回の発見は、認知症の研究から派生したものでした。
認知症の中でも最も多い「アルツハイマー型認知症」の初期段階では、現在地を把握して目的地までたどり着く「空間ナビゲーションスキル」の低下が見られます。
そこで研究チームは、空間ナビゲーションスキルを測定するためにゲーム会社と協力して、スマホゲーム「シー・ヒーロー・クエスト」なるアプリを開発しました。
これはプレイヤーが船を操り、地図上に示された宝物を探すゲームです。
プレイすることで自分がどれほどのナビゲーションスキルをもっているか明らかになるため、場合によっては認知症の早期発見に役立つのです。
そしてこれまでに世界中の400万人以上がシー・ヒーロー・クエストをプレイしたため、多くのデータが集まりました。
認知症の有無を明らかにするだけでなく、年齢・学歴・出身地などの違いが、ナビゲーションスキルにどれほど影響するか判断できるのです。
ここで今回の研究につながります。
研究チームは育った環境の違いで、ナビゲーションスキルにどれほどの違いが生まれるか調査しました。