隕石で即死した恐竜の「初の物的証拠」か?
ロンドン自然史博物館(NHM)の古生物学者、ポール・バレット(Paul Barrett)氏は、この化石について、「テスケロサウルス(Thescelosaurus)の脚」と指摘します。
テスケロサウルスは、後期白亜紀のマーストリヒチアン期(約7210万〜6600万年前)に北米に生息した草食恐竜です。
全長3〜4メートルで、川の近くに暮らしていたことがわかっています。
バレット氏は「本種はこれまで、どんな皮膚をしていたか不明でしたが、この化石によりトカゲのようなウロコ状であることが決定的となった」と話します。
調査の結果、この脚は何らかの衝撃で一瞬の内に切り取られたことが示されました。
脚はいたって健康な状態で、病気や感染症の痕跡もなく、噛み傷や欠損した部分もありません。
つまり、このテスケロサウルスは、隕石衝突の衝撃によって即死した可能性が高いのです。
これまで、隕石が恐竜を絶滅させたことを示す直接の証拠はなく、これが史上初の物的証拠となるかもしれません。
もしそうだとすれば、これは古生物学史に残る大発見となります。
一方で、エディンバラ大学(University of Edinburgh)の古生物学者であるスティーブ・ブルサット(Steve Brusatte)氏は「査読された論文が発表されるまでは懐疑的である」という。
「たとえば、隕石の衝撃により、それ以前に死んでいた恐竜が地中から掘り返され、同時代に死んだ可能性も考えられる」と見解を述べています。
研究チームは、化石の綿密な調査を終えたのち、いくつかの論文として発表する予定とのこと。
ただその前に、BBC Oneにて4月15日、「Dinosaurs: The Final Day with Sir David Attenborough」のタイトルで、タニスでの発掘を追った3年間のドキュメンタリーが放送される予定です。