問題は人工甘味料を好むような人の生活習慣
人工甘味料を使うとがんになるのか?
その答えはどうやら「YESとは言い切れない」ようです。
というのも、今回の研究は人工甘味料が、がんを引き起こすかどうかを調べたものではなく、人工甘味料の消費量とがんリスクの関連性を調査したものだからです。
どちらも同じような内容に聞こえますが、実は大きな違いがあります。
人工甘味料をがんの直接的な原因であると断定するには、人工甘味料が細胞に与える毒性を証明しなければなりません。
しかし今回の研究では人工甘味料の消費量とがんリスクの関連性(相関)を示しているのみであり、原因(因果関係)を証明しているものではないからです。
また人工甘味料を消費している人々の生活習慣を調べたところ「女性」「若い」「喫煙者」「運動量が少ない」「糖尿病にかかっている」という偏った特性を持つ人々の割合が大きくなっていました。
パーティー会場でコーラを注文する場合、太っていて糖尿病の人やダイエットに悩む若い女性の場合、人工甘味料入りのコーラを頼む可能性が高く、健康な人の場合は気にせず砂糖入りの普通のコーラを頼むケースが多くなります。
同じような選択はパーティー会場だけでなく日常生活全体にも当てはまるはずです。
(※興味深いことに太っているひとほど人工甘味料の摂取が多い)
喫煙者であり運動量が少なく糖尿病にかかっている人の場合、肥満関連のがんや肺がんになる確率が高くなることが知られています。
研究者たちは「女性」「若い」「喫煙者」「運動量が少ない」「糖尿病にかかっている」といった「上記の要素を統計的に調整した場合でも、人工甘味料の消費とがんリスクの関係が存在していた」と述べていますが同時に「全ての要素が調整できたわけではない」とも述べ、人工甘味料の消費量と生活習慣の関連性を認めています。
ただ、さまざまな人工甘味料の摂取量とがんリスクを直接比較した研究(コホート研究)はこれまでにほとんど存在しておらず、今回の試みが草分け的な研究である点は重要です。
現在、日本などの公の機関は流通している人工甘味料には目立った健康上の問題はないと考えていますが、これは全ての人が等しく健康に影響を受けないことを示すものではありません。