後悔の大きさは「捨てた選択肢の無知」に依存すると判明!
私たちは人生のなかで様々な選択を迫られます。
特に志望校、就職先、結婚相手のような複数を同時に選べない項目では、選択は人生に決定的な影響を与えかねません。
しかし残念なことに、そのとき最善と考えた選択が常に最良の結果を生むわけではありません。
そんなとき、私たちは「捨てた選択肢」に対して後悔の念を感じます。
では後悔の大きさは何が決めているのでしょうか?
一部の人々は、ミスに気付いたときに感じる後悔の大きさは情報量に比例していると言うかもしれません。
この理論では、捨てた選択肢に詳しければ詳しいほど、選ばなかったことに大きな後悔を感じるハズです。
一見すると、もっともらしい説ではあります。
しかしダートマス大学で行われた研究では、その逆で、知らないもののほうが後悔が大きかったことが判明します。
新たに行われた研究ではまず、800人の参加者が募集され、デートアプリで好みの相手を選ぶゲームが行われました。
ただし選択肢として表示される顔は「ぼやけて」おり、容姿を正確に認識することはできません。
参加者にはいくつかの段階を経て最も魅力的に感じるデート相手を2名に絞ってもらい、そのどちらとデートするかを選択してもらいます。
そして最終的に選んだ1人の「ハッキリした」顔を見ることができるのです。
この実験では、参加者の半分は追加で、選ばなかったデート候補の「ハッキリした」顔も見ることができました。
(※もう半分の参加者では選ばなかった相手の顔は「ぼやけた」ままでした)
ここで参加者たちに自分の選択を評価し、後悔の大きさを判断してもらいます。
自分が最後に選んだ相手に運命を感じたり、一目ぼれしている状態ならば、2番目の相手の顔がハッキリしようがぼやけたままだろうが違いはなく、後悔0です。
一方で、最後に選んだ相手の顔が明らかになった瞬間に「しまった」「ファッキン」あるいはそれに準ずる「ビミョ~」などの印象を抱いた人の場合、興味深い違いがうまれました。
自分の選択に運命を感じなかった人々は、選ばなかった2番目の顔が「ハッキリ」している場合には後悔が少なかった一方で「ぼんやり」していた場合は後悔が大きく感じていたのです。
この結果は、捨てた選択肢に対する情報が少ない場合、後悔が大きくなることを示します。
しかしこの時点では「ぼやけた」顔のほうが想像が働いて美しくみえるだけの可能性もありました。
そこで研究者たちは第2の実験を行いました。
第2の実験では、参加者たちに企業の採用担当者になってもらい、志望者たちを数値上のスペックで判断して採用してもらいます。
ただしこの段階で提示されるスペックは「あいまい」なものでした。
(※わかりやすく例えるなら履歴書の学歴の欄がなく代わりに、身長や趣味などが書かれている状態です)
採用官となった被験者たちには顔写真のときと同様に、選んだ最後の1人に対する卒業校や資格など正確なスペックが提示されます。
そして被験者の半分には追加で選ばなかった2番目の候補者の正確なスペックも同時に提示されました。
(※もう半分の被験者には選ばなかった2番目の候補者のスペックは「あいまい」なままです)
もし選択した候補者が理想通りのスペックだったなら、2番目の候補者のスペックを知ろうが知るまいが後悔することはないでしょう。
ですが多くの被験者たちは自分が選んだ候補者のスペックが理想と異なっていた場合、少なからず後悔を感じることになります。
このとき、選ばなかった2番目の候補者の「あいまい」なスペックしか知らなかった人々は、2番目の正確なスペックを知っている人に比べて後悔が大きいことが判明します。
この結果は、捨てた選択肢に対する情報が少ないほうが、後悔が大きくなることを示します。
どうやら後悔の大きさは、選ばなかった選択肢に対する「情報のあいまいさ」が主要な発生源の1つであるようです。
そのため研究者たちは後悔を減らす方法として、捨てた選択肢に対する正しい知識を得ることを提案しています。
もしこれまでの人生に少なからぬ後悔を感じているならば、選ばなかった学校や選ばなかった職業の実体や内情を詳しく調べてみるといいかもしれません。