偏りは脳機能の左右差が原因
なぜ人に慣れるにつれて、犬のしっぽ振りは左寄りから右寄りに変化していったのか?
研究者たちは「犬の左右の脳機能の違いがしっぽの振りに反映されている」と述べています。
以前の研究によれば、鳥・魚・カエルなどほとんどの動物では左脳が親愛や愛着などの前向きな感情と関連しており、右脳が恐怖や抑うつなど後ろ向きな感情に関連することが示されています。
そして一般に左脳は体の右側を制御し、右脳は体の左側を制御すると考えられています。
そのため研究者たちは、慣れない相手の前にいるときなど犬の気持ちが後ろ向きのときには右脳が優勢になってしっぽ振りが左側に誘引され、犬の気持ちが前向きになると左脳が優勢になってしっぽ振りが右側に誘引される、と結論しました。
同様の左右非対称な反応は他の生物でも報告されています。
たとえばヒキガエルの場合、ヘビなどの捕食者の情報が左視野(右脳 / 恐怖)に入るとジャンプする確率が高くなり、エサの情報が右視野(左脳 / 食欲)に入ると舌を右側にむけて射出する確率が高まります。
またカメレオンの場合、左目で別のカメレオンを見た場合、体の色が変化して攻撃的になることが報告されています。
さらに鳥の場合には、左目をつかってエサを探し、右目を使って捕食者を警戒することを好むことも報告されています。
どうやら犬のしっぽの振りが犬の気持ちによって左右に偏るのも、犬の脳も左右で担当する機能が異なるからなのでしょう。
もし今度、身近な犬に接する機会があったら、しっぽの振る向きに注意してみると彼らの気持ちがわかるかもしれません。