「集合知」が有益な意見を与えるのに役立つ
あるものに対して、より正確な評価を下したい場合には「集合知」が役立ちます。
集合知とは、大勢の人々の知性を統合したものをいいます。
例えば、イギリスの「ウシの体重を当てるコンテスト」を利用した統計学者フランシス・ゴルトン氏の分析では、集合知のメリットが際立っています。
「参加者600名が提出した推定値の平均」が、「酪農家などの専門家が提出した推定値」よりもずっと正確だったのです。
たとえ素人だったとしても、集団の知性を組み合わせることで専門家を超えることができる、というわけですね。
これは例えば、ネットの商品レビューの平均が、その商品のもっとも正統な評価に近づくのと同じです。(運営側の操作がない前提ならば)
ではこうした集合知は、個人の好みを推定する場合のも役立つのでしょうか?
ウシの体重ならば、厳密な1つの正解がありますが、「好み」は人によって大きく異なります。
また、仮に集合知が「好み」にも役立つとしても、相手に尋ねられてから、①何百人もの人からアンケートを集めて、②平均値を出して、③答えてあげる、ことなどできません。
集合知は、日常的には利用しづらいのです。
そこで研究チームは、たった1人しかいなくても、一種の集合知を生み出す方法を考案し、その方法がどれほど効果的か確かめることにしました。