タービンの逆回転を利用した「海に浮かぶ風力発電機」
新しく考案された浮体式VAWTは、枝が伸びた樹木のような見た目をしています。
しかし、この枝が風を受けるためのブレードであり、上部と下部の2重構造になっています。
片方のタービンがロータ(回転する部分)に繋がっており、もう片方のタービンはステータ(固定・静止部分)に繋がっています。
そして互いに逆回転するよう設計されています。
これにより、ステータに対するロータの相対回転速度が2倍になり、発電効率が高まるというのです。
またワールド・ワイド・ウインド社によると、木の枝のように斜め上に伸びたブレードデザインは、タービンによる後流効果(風力タービンの影響を受けて風が弱まったり変化したりすること)を低減するようです。
そのおかげで、1つ1つの発電機を近づけて密集させられます。
まるで林や森のような間隔でVAWTを設置し、効率アップを狙えます。
さらに新しいVAWTは傾いても問題なく作動するため、ある程度の突風や荒波にも耐えられるようです。
ちなみに現在、世界最大の風力タービンは、MingYang Smart Energy社が開発しており、高さ242mで16MWの発電容量をもつと言われています。
一方ワールド・ワイド・ウインド社は「2026年までに容量3MWの小型モデルを稼働させ、2029年までには400mの40MWモデルを開発できる」と主張。
しかし現段階では、小型モデルでさえ実現可能だという証拠が提出されていません。
「全長400mのビッグモデルが海に浮かぶなんて到底信じられない」という人がほとんどでしょう。
確かに斬新で興味深いアイデアですが、「期待できるかどうか」という判断ですら、あと数年は待った方がよさそうです。