デジャヴュの原因の1つは「空間的類似」だった
デジャヴュに関しては、100年前から1つの仮説が立てられています。
それは、「今見ている光景と、思い出してはいないものの脳に記憶されている光景が、空間的に似ているときにデジャヴュが起こる」というもの。
例えば、友人の見舞いに行く途中、病棟のナースステーションを通りかかったとします。
この病院には初めて来たのに、以前に来たことがあるかのような感覚に襲われます。
このデジャヴュの原因は、ナースステーションの家具やカウンター、廊下などの空間的なレイアウトが、1年前に参加した学校行事における校内のレイアウト(受付や看板、廊下など)と同じ配置だったからかもしれません。
その学校行事や校内の様子を思い出すことができない場合、状況に対しての強い既視感だけが生まれるというのです。
クリアリー氏ら研究チームは、この仮説を検証するため、VR(バーチャルリアリティ)を使って、参加者にいくつもの光景を味わってもらい、その中でデジャヴュを感じる条件を探すことにしました。
それぞれのレイアウトは似たものもあれば、全く異なるものもありました。
その結果はクリアリー氏の予想通りでした。
体験したことがあってもそのことを思い出せない場合、それと似たレイアウトの光景を新しく見ると、デジャヴュが起こりやすいと分かったのです。
この結果は、前述の仮説を支持するものとなりました。
デジャヴュの原因の1つは、新しい光景と思い出せない光景の空間的類似だと考えられるのです。
もし「この場所は以前来たことがあるのかも」とデジャヴュを感じることがあれば、それは思い出せないだけで、同じようなレイアウトの場所に行ったことがあるということなのです。
もちろん、デジャヴュの原因には空間的類似だけはなく、もっと多くの要素が関係している可能性があります。
しかしかつては超常的と思われていた現象であっても、徐々にその原理は明らかになっているようです。