意図しない「混獲」が、カニの消失に拍車をかける
気候変動に加えて、商業的な漁業もズワイガニの減少に寄与しています。
特に、他の海産物を対象としたトロール(底引き網)漁には、意図せずしてズワイガニが混獲されてしまうのです。
漁師の方もカニが小さすぎたり、甲羅が変色していたり、傷が付いていたりすると、海に廃棄してしまいます。
そして、海底から急激に水面に引き揚げられたことで、水圧や温度の変化に耐えられず、海に戻されたカニの多くが死んでいるのです。
ADFGの2020年の調査では、混獲されてベーリング海に戻されたズワイガニのうち、30%以上が死んでいることがわかっています。
また、痛手を被るのはズワイガニだけではありません。
アラスカ州では、ズワイガニ漁はビッグビジネスであり、多くの漁師がカニ漁で家族を養っています。
10月初旬に発表された今シーズンの禁漁に加え、ベーリング海のズワイガニの先行きが不透明であることは、ズワイガニ漁に依存して生活する地元漁師にとって大打撃となるでしょう。
持続可能なカニ漁を再開するには、まず、ズワイガニの保護と個体数の回復に努めなければなりません。
こうしたベーリング海の異変は日本の食文化にも影響するかもしれません。
こちらは、ベーリング海でのズワイガニ漁のニュース映像です。