AIにも人間に似た「概念」が存在する可能性があると判明!
近年の急速なAI技術の進歩により、人間と区別がつかないほど自然な会話が可能なAIが作られるようになってきました。
これら自然な言葉をあやつるAIのほとんどは「ニューラルネット」と呼ばれる仕組みによって動いています。
ニューラルネットはコンピューター内部でシミュレートされた、人間の脳を模倣する疑似的な神経網であり、人間と同じように学習を通して疑似的な神経回路を形成し、高度な判断力を身につけることが可能です。
近年の高度なAIが人間と見間違うほど自然な会話ができるのも、人間の脳の仕組みを模倣し学習によって進化する仕組みを取り入れているからと言えるでしょう。
そこで今回、基礎生物学研究所の研究者たちは、自然な会話能力があるAI「GPT‐3」に対して
「Aって何色だと思いますか?」
「3って何色だと思いますか?」
と人間の言葉で尋ねることにしました。
これまでの研究により、人間に同じような質問をした場合には、答えは赤・青・緑・黄などの特定の色に偏ることが判明しています。
また興味深いことに、人間が答えがちな色は、本や新聞など日常生活で目にする色名の出現頻度と必ずしも一致していませんでした。
つまり人間は学習の過程で赤・青・緑・黄をよく目にするから、それらの色を答えやすかったわけではないのです。
もしAIが学習データに含まれる色名の頻度をもとに答えを吐き出すだけの存在ならば、人間と同じような偏りはないでしょう。
しかしAIのニューラルネットが学習に用いたデータから人間と似たような心理回路を形成していた場合、AIの答えは人間と同じような偏り(赤・青・緑・黄が多い)をみせるはずです
そこで研究者たちはAI「GPT-3」に対して「ABCDE……」などアルファベットがどんな色であるかを『黒、白、赤、黄、緑、青、茶、オレンジ、紫、ピンク、グレー』の11色の色の中から答えてもらい、回答した色の頻度を分析しました。
(※質問は各アルファベットに対して50回行われ、合計1300回の答えが集められました)
結果、AIの答えの偏りは人間の偏りと非常によく一致していることが判明します。
またアラビア数字の色をAIに尋ねる類似の実験を行った場合にも、人間と同じような色の偏りが観察されました。
しかしそうなると気になるのが、AIのニューラルネットで何が起きているかです。
なぜAIは文字などに対し、人間と同じ偏り方で色を連想したのでしょうか?