全自動ゴルフロボットは人間に勝てる?
ゴルフロボット自体はそこまで新しいものではありません。
実際2016年には、「ゴルフ・ラボラトリーズ」社の経営者であるジーン・パレンテ氏が開発したゴルフロボット「LDRIC」がホールインワンを達成しました。
LDRIC The Golf Robot – HD from The Golf Agency on Vimeo.
しかし、LDRICがそうであるように、これまでに登場したゴルフロボットは、ボールの前に設置され、正しいスイングをするよう人間がプログラムしなければいけませんでした。
自律的なロボットというよりも、人間の道具のような存在だったのです。
対照的に、今回ユンカー氏によって発表された「Golfi」は搭載されたAIによって学習し、自律的にパッティングを決めることができます。
Golfiは、まず頭上に装備された3Dカメラを使用して2m2の人工芝をスキャンし、対象となるゴルフボールを発見できます。
その後ボールに近づき、ニューラルネットワーク・アルゴリズムを使用して、質量、速度、地面摩擦などの物理変数を考慮しながら、約3000パターンにも及ぶゴルフスイングの候補をすばやく分析。
導き出された最適なスイングによってパッティングを実行します。
これにより、Golfiは10回のパッティングのうち、6~7回を成功させられるようになりました。
2m2グリーンの中心がホールなので、Golfiは1m未満のショートパッドで60%の精度をもっていることになります。
ちなみに同条件でプロは95%以上、アマチュアで80%の精度だと言われています。
まだまだ人間にはかないませんね。
しかもGolfiはケーブルで電源に接続されている必要があるため、現段階では屋外のゴルフ場につれていくことさえできません。
では将来、ゴルフAI(を搭載したロボット)がパッティングで人間に勝つことはあるのでしょうか?
可能性は十分にあります。
高度な読み合いが必要とされるチェスでは、1997年にAIが人間に勝利。
そして2015年には将棋で、2016年には囲碁で、AIがトッププロに勝利してきました。
同様にゴルフAIが今後進化していけば、もしかしたらプロを打ち負かす事態が生じるかもしれません。
「まだ60%の精度」なのではなく、「既に60%の精度」とも言えるでしょう。
サッカーやバスケットボールなど、俊敏な動きを必要とする多くのスポーツでは、鈍重なロボットが活躍することはまだありません。
しかし今後、瞬発力を必要としないスポーツやゲームでは、人間がAIやロボットに勝てる分野はほとんどなくなっていくのかもしれません。