ドローンの騒音問題を解決する「トロイダル・プロペラ」
ヘリコプターのプロペラが回転すると、非常に大きく不快な音が周囲に鳴り響きます。
これはプロペラのブレード先端が引き起こした渦の中に、次のブレードが突入することで発生する音です。
近年開発が盛んなドローンでも、同様に騒音がネックになっています。
ドローンには撮影や配達などの役割が期待できますが、居住区では騒音問題に発展する恐れがあるのです。
こうした背景にあって、MITの研究チームは、ドローン用のトロイダル(環状体の意)・プロペラを開発しました。
従来のプロペラではブレードの先端が1枚1枚離れているのに対し、トロイダル・プロペラではブレードがねじれながら繋がっています。
このループ状の閉じた構造が、ブレード先端で発生する渦を最小限に抑え、プロペラ全体の剛性も高めてくれます。
結果として、プロペラ特有の不快なノイズが大幅に低減されます。
人間は100~5000kHz付近の音を敏感に感じ取る傾向がありますが、グラフが示すように、この範囲の音を低減してくれるのです。
Twitterに投稿された動画では、音の違い(1:12~)を確かめることができます。
The toroidal propeller, one of the Lab’s @RD100Awards winners, has a unique, closed-form propeller design that makes it a significantly quieter alternative to common multirotor propellers on commercial uncrewed aerial vehicles. https://t.co/hgda3NgYIz pic.twitter.com/5XkIxNVPHd
— Lincoln Laboratory (@MITLL) January 6, 2023
しかもテストでは従来のプロペラと同程度の推力が得られており、飛行能力が低下しないことも実証しました。
現在はさらなる開発が進められています。
そしてトロイダル・プロペラを研究しているのは、MITだけではありません。
ボートに設置されるトロイダル・プロペラでは会話も難しくなるほどのボートの走行音が大きく低減されています。事項でそれを紹介します。