地球を冷やすには、太陽光をダストで遮ればよい
地球温暖化に対処する戦略の1つに、太陽光の一部を地球に到達する前に遮るというものがあります。
過去の研究では、地球に降り注ぐ太陽放射を1.8%減らせば、温暖化の流れを逆転できるとも言われています。
そのため科学者たちは、太陽放射1~2%を遮断することを目標に、様々な方法を検討してきました。
今回、ブロムリー氏ら研究チームは、地球と太陽の間にダスト(塵)をバラまくことで、太陽光を遮断できないか研究することにしました。
彼らが最初に考案したのは、人間が作った宇宙構造物(宇宙ステーションよりも少し小さい)を地球と太陽の間の位置で公転させ、そこからダストをバラまくという案です。
このアイデアで重要なのは、太陽光を遮断できるよう適切な位置でダストをバラまくことです。
そのためチームはコンピュータモデルを使って、宇宙構造物をラグランジュ点に配置しました。
ラグランジュ点とは、天体と天体の重量で釣り合いが取れる「宇宙の中で安定するポイント」のことです。
地球と太陽においても、このラグランジュ点が5つ(L1~L5)あり、この位置に配置された物体は、地球から見て常に同じ位置をキープしながら太陽の周りを公転することになります。
チームはL1に宇宙構造物を配置してダストをバラまけば、常に太陽光を遮れると考えました。
しかし、そもそもこの案には大きな課題があります。
大量のダストをどこから、どのように用意するのか、という点です。
計算の結果、太陽光を遮るのに十分な量のダスト(年間1000万トン以上)を地球から宇宙構造物に供給し続けるには、天文学的なコストと労力が必要だと分かりました。
そこでチームは、より現実的な別の方法を探してシミュレーションすることにしました。
その方法とは、「月の一部を爆破する」というものでした。