月の一部を爆破して「月レゴリスをばらまく」と地球温暖化が逆転する!?
月面は、厚さ数m~数十mほどの「月レゴリス」と呼ばれるダストの層に覆われています。
そこで研究チームは、この月レゴリスをラグランジュ点のL1に向けて噴射し、太陽光を遮るという案をコンピュータモデルで研究することにしました。
月面を爆破するなどして大規模な掘削を行い、そこで得られた大量の月レゴリスをカタパルトのような機械で打ち上げるのです。
月の重力は地球の6分の1程度なので、打ち上げるのに必要なコストは大幅に削減されます。
打ち上げられた月レゴリスは次第に散っていきますが、計算では1度の打ち上げで最大1週間ほど効果が持続するようです
そして大切なのは、打ち上げられた月レゴリスの軌道です。
研究チームは、様々な打ち上げ軌道をシミュレートした結果、「月レゴリスが太陽光を遮るのに効果的なルートを発見した」と述べています。
定期的に月からの打ち上げを続けるなら、散乱した月レゴリスは下記の軌道を繰り返し、ずっと太陽の一部を遮ってくれるでしょう。
太陽光すべてが遮断されるわけではないため、特定の地域だけが極端に寒くなることはありません。
さらにこうした大規模な取り組みでは、「やりすぎで氷河期に突入するのでは?」といった懸念も生じます。
しかし今回のシナリオでは、デメリットだったはずの「継続期間の短さ」が、安全策として働きます。
仮に影響が大きすぎたとしても、打ち上げを繰り返さない限り、1週間経てば元通りになるのです。
それでも「月を爆破したり掘削したりする」というアイデアを実現させるのは、さすがに難しいでしょう。
研究チームもその点を認めており、今回の研究は「可能性を探ることが目的」だと述べています。
アイデア自体は暴論に思えますが、もしかすると、将来これにインスピレーションを受けた本当の解決策が誕生するのかもしれません。