地球の哺乳類の「重さ」を調べる
環境問題に向き合ったり、動物の保護活動に取り組んだりする上で、それぞれの個体数を知ることは大切です。
しかしネズミ1匹とウシ1頭が生態に与える影響は全く異なります。
そのため個体数だけでなく、生物の量(生態学で「バイオマス」という)で比較することは大切です。
そこで今回、イスラエル・ワイツマン科学研究所のミロ氏ら研究チームは、地球に存在する哺乳類の「総質量」を種類ごとに算出・比較することにしました。
それぞれの総質量を算出するには、その種の個体数の情報が必要です。
そこで彼らは、既存のレポートをもとに392種の野生の陸生哺乳類の詳細なデータ(個体数を含む)を入手し、それらの総質量を算出しました。
しかし野生の陸生哺乳類は約6400種にも及ぶため、得られた個体数のデータは全種の約6%に過ぎません。(それでも野生の陸生哺乳類の総質量の半分以上を占めていました)
他の種は個体数のデータがないため、一般的な特徴(個々の体重、分布、栄養学や動物学に基づく情報)から推定する必要があります。
そこでチームは、392種の詳細なデータで機械学習計算モデル(サポートベクター回帰モデル)をトレーニングしました。
これに残りの種のパラメータを入力することで、野生の陸生哺乳類全体ののおおまかな質量を算出することができました。
ちなみに、今回算出できたのは合計4805種の野生の陸生哺乳類です。
全種(約6400種)には及びませんが、残りの種はそもそも質量が小さく、総質量への影響は無視できると判断されました。
そして同様にチームは、人間、野生の陸生哺乳類、野生の海洋哺乳類、家畜、それぞれの総質量を推定することに成功しました。