哺乳類の総質量との比較から地球への影響力を確認できる
生物の質量比較は、これまでにない視点を与えてくれます。
例えば1200種のコウモリは、個体数で考えると、野生の哺乳類の3分の2を占めます。
しかし総質量で考えると、野生の陸生哺乳類の10%でしかありません。
この違いはコウモリが生態に与える影響の大きさを正確に把握するのに役立つでしょう。
また野生の哺乳類の質量が人間や家畜に比べて非常に小さいという事実は、ある意味、私たちの目を覚ましてくれます。
ミロ氏は次のように述べます。
「映画、美術館、エコツーリズムなどを通して自然のすばらしさに触れると、自然が無尽蔵の資源だと考えたくなります。
しかし実際には、現存するすべての野生の陸生哺乳類の重さは、人間全体の重さの10%未満です。
この重さを人間1人1人に割り振った場合、たったの約6ポンド(約2.7kg)にすぎません」
もしかしたら私たちは、「たくさんの野生哺乳類の中に人間が含まれている」イメージを持っていたかもしれません。
しかし実は、現在の地球は完全に人間主体の場所になっているのです。
そして地球の大部分を占める「家畜」ですら、人間が生み出し、管理しているものです。
人間がどれだけ地球や生態に影響を与えてきたのか、また現在それを左右する力を持っているのか、よく理解できますね。
現在の地球温暖化においては「ウシのゲップ」がかなり大きな割合を占めるという話も、今回の結果を見ると納得がいくものとなるでしょう。
また、人間が飼っているイヌの総質量が野生哺乳類に匹敵するという事実を知ると、「イヌ・ネコの殺処分」が環境に対しても大きな問題となることが理解できます。
今回の研究は、私たちの決定と選択が、将来の自然環境にどれだけ大きな影響を与えるかを考え直すきっかけになるかもしれません。