クエーサーの活動は「銀河の衝突」の相互作用で生じていた
これまでに天文学者たちは、「クエーサー活動を生じさせるほどの大量の物質が、他の銀河との衝突でもたらされた」可能性を考慮してきました。
しかし、それを裏付けるような研究成果は得られていませんでした。
そこで今回、研究チームは約35億光年以内にある48個の「クエーサーを持つ銀河」と100個以上の「クエーサーを持たない銀河」の画像を比較し、その違いを詳しく分析しました。
これほどの規模のクエーサーのサンプルを撮影したのは今回が初めてです。
その結果、クエーサーを持つ銀河は、他の銀河と衝突したり相互作用を引き起こしたりする可能性が約3倍高いと分かりました。
また3分の2のクエーサーで、他の銀河との衝突で重力が乱れた形跡を発見しました。
これらの証拠は、「クエーサーの強力な光を生じさせるのに必要な物質が、他の銀河との衝突でもたらされた説」を支持するものとなります。
2つの銀河が衝突すると互いの重力が影響を及ぼし合い、大量の物質が超大質量ブラックホールに引き寄せられ、結果としてクエーサーの光を放つのです。
ちなみに銀河が衝突するケースでは、2つの銀河が合体する場合と、そのまま通り抜ける場合があります。
そして今回観測されたクエーサーを持つ銀河の多くは、銀河核が合体する前の段階であることも分かりました。
これは引き寄せ合う2つの銀河が、合体するずっと前から重力の影響を受けてクエーサー活動を引き起こすことを示しています。
また研究チームによると、「銀河核が合体した後にクエーサー活動が生じることもある」とのこと。
今回の結果と推測は、すべてのクエーサーの仕組みを説明するものではありません。
それでも、私たちが住む天の川銀河の将来に光を当てるものとなりました。
天の川銀河はおよそ40~50億年後にアンドロメダ銀河と衝突すると予測されていますが、この時にもアンドロメダ銀河の中心に光輝くクエーサーが生じる可能性があります。