■ペルセウス銀河団の中に形成初期からその性質が変わらない巨大銀河が見つかる
■この巨大銀河は赤い球状星団しか持たず、生まれたときから性質が変わっていない
■他の小さな銀河を吸収したときにできる青い球状星団を持たない
何千何億年前の状態を変わらず保っている銀河は、巨大な1000の銀河あたりたった1つといわれています。
カナリア天体物理研究所とラ・ラグーナ大学の研究者たちは、ハッブル望遠鏡によって、ペルセウス銀河団の中に形成初期からその性質が変わらない巨大銀河を発見しました。この研究は「Nature」で発表されています。
http://dx.doi.org/10.1038/nature25756
球状星団は銀河の外れの軌道を回っている星の集団で、銀河ができるのに伴って形成されます。球状星団には2種類の集団があります。赤いものは巨大銀河の中で生まれたもので、中心近くで見られるもの。ヘリウムよりも重たい物質を多く含むのが特徴です。青いものは金属の割合が少なく、巨大銀河の周辺にあり、より小さな銀河を吸収した結果出来ます。
これらの星団を解析すると、NGC1277銀河は赤い球状星団しか持たないため、形成された当時から変化しないままあるということがわかります。「球状星団系は銀河の歴史に非常に敏感です。これほど大きな銀河でほとんど青い球状星団を持たないものが見つかったのはこれが初めてです」と筆頭著者のミカエル・ビーズリー氏は述べています。
NGC1277銀河は1兆もの星からなります。天の川銀河の近くにある最大の銀河密度があるペルセウス銀河団の中央領域にあり、その相対距離は2億2千5百万光年です。そのため、宇宙形成の初期から基本的に変化していないままである銀河の性質の解析に最適な天体となっています。
「NGC1277銀河は、宇宙の『辺境』の『原始』銀河を研究する唯一の機会を与えてくれます」と述べるのは著者の一人であるイグナチオ・トルヒーリョ氏。
この銀河が生まれた時、一年間に千の星を産み出しました。一方、現在の天の川銀河は1年間に1つしか星を産みません。この巨大な銀河がずっとオリジナルな形体や構成要素を変化させずに維持している理由は何なのでしょうか。
この銀河は、ペルセウス銀河団の中心銀河を回る、衛星銀河として形成されたと推測されます。研究者によると、NGC1277に様々な物質が落ちる前に、中心銀河がそれらを吸収してしまうため、異なる進化が起こらなかったとのこと。この銀河は今もまだ、中心銀河を秒速1000kmで回っています。
著者らはハッブル宇宙望遠鏡やその後継であるジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を使わせてもらい、他の遺物銀河の球状星団を観察することを計画しています。
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/13230