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もしや暗黒銀河? 奇妙な「からっぽ」の銀河が6つ発見される

2018.05.29 Tuesday

Photo credit: john.purvis on VisualHunt.com / CC BY-NC-SA
Point
・銀河には星を持たない「暗黒銀河」と呼ばれるものがあり、銀河形成の初期段階と考えられていますが、証明はされていません。
・クエーサーの放射が水素を蛍光させる性質を利用して、暗黒銀河の候補を見つけられる
・超大型望遠鏡に新たな機材を組み合わせることで、6つの暗黒銀河候補が見つかる

銀河といえば、星で満たされた輝く渦巻きでしょう。しかし今回宇宙物理学者たちが見つけたのは、星をほとんど持たない、からっぽな「銀河のようなもの」。これは暗黒銀河(dark galaxy)として知られていて、銀河形成の初期段階であると考えられています。ある理論モデルによると、初期の宇宙においては、銀河が星を生み出すことが難しかったことが一般的だった可能性があるようです。

しかし暗黒銀河は星を持たず、物質とガスによるので、可視光をほとんど放射しません。そのため、検出したり研究するのは非常に難しいのです。現在も僅かな候補しか検出されていません。なので、新たに6つの候補が見つかったことは、暗黒銀河が一体何であり、銀河形成のどの段階なのかを明らかにする助けとなるでしょう。

Dark Galaxy Candidates at Redshift ~3.5 Detected with MUSE*
http://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/aab6aa/meta

チューリッヒのETHの物理学者に率いられた研究チームは、旧来の技術と新しい技術を組み合わせることで、検出を可能にました。

この技術はクエーサーの存在に依存しています。クエーサーとは宇宙で最も明るい天体の1つで、銀河の中心にあるブラックホールによってエネルギーを供給しています。もちろん光はブラックホールから出ているのではなくて、ブラックホールに落ち込む降着円盤での途方もない摩擦によります。激しい紫外線を放出し、そばにある水素原子を蛍光で光らせます。この放射は、ライマンα線として知られています。水素で満たされた暗黒銀河が中心にクエーサーを持つ銀河の近くにあれば、ある種の宇宙的フラッシュライトとして振る舞い、ライマンα線は、そのスペクトルを表すでしょう。

Credit: Marino et al./The Astrophysical Journal

この技術はかつて使われたもので、2012年にヨーロッパ南天天文台超大型望遠鏡を使って、いくつかの暗黒銀河の候補を識別したことで知られています。2014年には、この望遠鏡にマルチユニットスペクトロスコピックエクスプローラー(MUSE)が追加。さらに遠くまで見ることができるようになり、以前よりもっと初期の暗黒銀河が識別できるようになりました。

そしてMUSEを6つのクエーサー領域に向けて、それぞれを合計10時間ずつ観測して研究しました。その結果、各暗黒銀河候補の完全なスペクトル情報を取得し、約200のライマンα線放射から、それらのスペクトルを通常の星を持つ銀河とは違ったものとして、識別することが出来ました。

これらの候補が暗黒銀河であるという確かな証拠はまだありません。しかし研究者によると、これらの候補は、現状もっとも暗黒銀河に近いとのこと。MUSEはこれらの神秘的な天体を見つけ出す強力なツールとなり得るのです。

「MUSEで観測されるすべてのクエーサー領域で、新たな暗黒銀河の候補が発見される可能性が示されるでしょう。そして、初期の銀河形成の暗黒段階における重要な情報がもたらされるに違いありません」と研究者たちは論文上で述べています。

宇宙 記事一覧

https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/7866

via: Science Alert/ translated & text by SENPAI

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