・天文学者が非常に大きなブラックホールを発見、その成長速度が最速であることがわかる
・その質量は太陽の約400億倍で、従来の初期宇宙論では説明不可能
物理学者にとっての謎が2倍に膨れ上がりました。
以前から観測されていた、年齢で考えられるよりもずっと重い謎のブラックホール。しかし今回さらに大きなものが新たに発見されたようです。
SkyMapper and WISE
https://arxiv.org/pdf/1805.04317.pdf
ブラックホールは、その引力によって引き寄せられた物質の流入で質量が増えます。しかし、どのブラックホールの成長速度にも大きさに依存した限界があり、理論的にはそれは超えられないはずです。
しかし今回発見されたこの天体は、少なくとも天の川銀河の中心にあるブラックホールよりも4千倍重く、私たちが今まで見てきたブラックホールの中で最も速い成長速度を示しています。
さらに不可解なのは、これらのブラックホールがその距離から判断して、ビックバン後20億年しか経っていないことです。しかしこれらの天体はとても巨大なので、宇宙の誕生後すぐに生まれて可能な最大速度で成長したとしても、その初めの大きさは太陽の数千倍の質量が必要ということになります。
オーストラリア国立大学のクリスチャン・ウルフ博士は、これが物理学者にとって、とても重い問題であると語っています。というのも、ブラックホールを生み出す最も大きな超新星爆発でさえ、太陽の50倍の大きさだからです。これらのブラックホールは、説明できるよりもずっと巨大な質量で始まったのか、あるいは、予想よりもずっと早いスピードで成長したかのどちらかです。
ウルフ博士は、今回発見したブラックホールが非常に速く成長すること、また現存する理論によれば、その質量が太陽の200億倍あることを発表。
「このブラックホールは非常に成長が早いため、銀河全体よりも何千倍も明るく輝きます。もしこのモンスター級のブラックホールを私達の銀河の中心に置いた場合、それは満月の10倍も明るく見えるでしょう。その成長速度は、一日に太陽の半分の質量で、以前に記録されたもののほぼ2倍です」
もっと重たいブラックホールは見つかっていますが、すべて説明が必要ないほど古いものです。以前発見されている中で例外的なものは、年齢が今回見つかった物に近く、大きさは太陽の100億から120億倍のもの。
ウルフ博士が言うには、まだ正確な質量は確認できていませんが、その軌道を取り巻いているガスの速度を測ることのできる望遠鏡の使用を予定しています。その測定で、質量は明らかになるでしょう。しかし、成長速度はそのクェーサーの明るさから簡単に決定できます。
このブラックホールが見つかったのは、宇宙望遠鏡ガイアの星の動きを観察した研究のいわば副産物です。遠くのクェーサーは、その光がドップラー効果で変わるため、赤色矮星のように見えます。ウルフ博士はさらなる研究で、こういった超大型ブラックホールの頻度を知りたいと思っています。
via: IFL Science/ translated & text by SENPAI
関連記事
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/9618