Point
■銀河ハローをすばる望遠鏡で観測することにより、初めて銀河系の境界を見極めることに成功した
■天の川銀河の最果ては銀河中心から半径52万光年の距離になる
■ハローに浮かぶ天体の状況から、天の川銀河が複数の小銀河の合体で形成されたことがわかってきた
銀河の最果てとは一体どこを指すのだろうか?
私たちの属する天の川銀河は一般的に半径5万光年ほどの大きさだといわれている。
銀河のほとんどの物質、恒星はこの領域に集中しているが、そんな銀河系円盤部の遥か外側にも、銀河系に所属する天体は広く分布しているのだ。
この過疎った銀河の辺境はハローと呼ばれており、非常に古い天体が含まれている。このハローを観測すれば銀河の初期の状況や、銀河形成の歴史に迫ることもできると言われている。
今回、そんなハローに浮かぶ古い天体の数々を観測し、天の川銀河の厳密な境界を見極めることに成功したという報告が発表された。
銀河の果てには何があるのだろうか? そしてどうやってそんな果てまでの距離を導き出すのだろうか?
この研究は東北大学、法政大学、東京大学、国立天文台などのメンバーからなる共同研究チームにより発表され、日本天文学会欧文研究報告(PASJ)に6月13日付けで掲載されている。
https://academic.oup.com/pasj/advance-article-abstract/doi/10.1093/pasj/psz052/5514559?redirectedFrom=fulltext
銀河系を取り囲む広大な辺境領域 ハローとは?
私たちがふだん銀河と呼んでいる領域は、銀河系全領域の中心部、もっとも星々で賑わう首都圏のような場所だけだ。
ここは銀河系円盤部と呼ばれていて、銀河を形作る超巨大ブラックホールを中心に、半径5万光年ほどの領域に銀河の物質のほとんどが集っている。太陽系も当然ここにあり、中心部からの距離は2万6千光年ほどだ。
しかし銀河系に所属する天体は、そのもっと遥か遠くまで分布している。そこには明るく輝く玉のような球団星団や、はぐれて浮かぶ古い星、そして未だ謎多きダーク・マターなど、様々な天体が銀河を包み込むように球状に広がっている。これをハローと呼ぶ。
ハローには年齢が120億年という、飛んでもない長老の星が10億近くいることがわかっており、銀河系の形成初期の状況を知る手がかりが多く残されていると言われている。