超加工食品とうつ病の関連性が明らかに!
今回の研究では、生活習慣と非感染性疾患(NCDs)との関連性を調査することを目的としたオーストラリアの「メルボルン共同コホート研究(Melbourne Collaborative Cohort Study)」のデータを分析しました。
(NCDs:不健康な食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒、大気汚染などにより引き起こされる、がん・糖尿病・循環器疾患・呼吸器疾患・メンタルヘルスをはじめとする慢性疾患をまとめて総称したもの)
ここではオーストラリア在住の27歳から76歳までの被験者2万3299人 (女性1万3876人)を対象としています。
まず調査開始時の1990〜1994年に、アンケート調査によって、被験者の普段の食事習慣と精神的苦痛(疲労、絶望、神経質、悲しみ、無価値などの症状)に関するデータが収集されました。
そして最初の調査から10年以上経った2003〜2007年に再び精神的苦痛のデータを集めます。
データ分析の結果、超加工食品の摂取量が最も高かったグループ(上位25%)は、超加工食品の摂取量が最も低い下位25%のグループと比較して、10年以上後に精神的苦痛を経験するリスクが14%高くなっていたのです。
超加工食品を最も消費していた上位25%は、他の被験者に比べて精神的苦痛のレベルが高くなっていました。
また、これらの人々はタンパク質、食物繊維、飽和脂肪の摂取量が少なく、果物や野菜を食べる頻度も少なかったとのことです。
こうした統計研究に対しては、超加工食品をよく摂取する人はそもそも外出をしないとか、経済状況が低いなどの要因を持ち、そちらの影響が大きいのではないかと疑う人も多いでしょう。
しかし今回の結果は、性別や年齢、学歴、経済状況、ライフスタイル、その他の健康関連行動(運動習慣、喫煙・暴飲暴食の有無、ストレスへの対処など)を考慮した上でも変わりませんでした。
以上を踏まえると、超加工食品の過剰摂取は将来的なメンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性が高いと結論されます。
精神的苦痛はうつ病の程度を示す指標ともなっているため、超加工食品ばかり食べていると、うつ病の特徴である強い気分の落ち込みや喜びの喪失、集中力の低下を引き起こしてしまう可能性が高くなると考えられます。
「そういえば最近、ポテチやカップ麺をばかり食べているな」と心当たりのある方は、将来のためにも少しずつ摂取量を減らす習慣をつけて損はないでしょう。
とはいえ今回の研究では、超加工食品とうつ病との相関性が明らかになったばかりです。
チームは今後、超加工食品のどんな物質がメンタルヘルスの悪化につながるのかを解明していきたいと考えています。