反社会的な性格特性「ダークテトラッド」
まず、研究の詳細を紹介する前に、ポール博士らが触れている「ダークテトラッド」と呼ばれる性格の特性について解説しておきたいと思います。
ダークテトラッド(Dark Tetrad)は、人間の性格のダークな側面を形成するとされる4つの性格特性の集合です。これには以下の要素が含まれます。
- ナルシシズム: 自分自身を過度に高く評価し、他人よりも優れていると信じる傾向
- マキャヴェリズム: 自己中心的な目的のために道徳的な考慮を犠牲にする傾向
- サイコパシー: 表面的には魅力的だが誠実さがなく、責任感が薄くて状況を他者のせいにしやすい傾向
- サディズム: 他人に物理的、または精神的な痛みを与えることから喜びを感じる傾向
ダークテトラッドの性格特性は、社会的、あるいは恋愛関係において問題を引き起こす可能性が高いとされています。
なお、ダークテトラッドからサディズムを抜いた3要素で構成される特性は、ダークトライアドと呼ばれています。
これまでの不倫の研究では、性的欲求を満たすための不倫、精神的に満たされるための不倫が主に考察されていましたが、今回研究チームは、復讐やパートナーを意図的に傷をつけようとするような「悪意のある不倫」も調査対象にしました。
このような不倫も考慮しなければ、不倫の全体像は掴むことができず、カウンセリングの現場で不倫の種類を正確に理解し、適切に対応することが困難になると予想されるからです。