父親は犬種不明のイエイヌ、母親はキツネと判明!
遺伝子調査の結果、保護された動物は、家畜種である何らかのイエイヌ(Canis familiaris)とパンパスギツネとの組み合わせでのみ生まれうることが判明したのです。
特に遺伝子データからは、母親がパンパスギツネで、父親が犬種不明のイエイヌであることが特定されました。
研究者いわく、犬とキツネのハイブリッド種が確認されたのは世界初とのことです。

ただし、母親と判明したパンパスギツネ(学名:Lycalopex gymnocercus)は、英語名でもPampas foxと呼ぶように名前に「キツネ」と付きますが、キツネ属とは違うグループに分類されます。
実際にはキツネと非常に近いスジオイヌ属(Lycalopex)の一種なので、イヌとの交配も可能だったのかもしれません。
それでも研究者らは、パンパスギツネの属するスジオイヌ属と一般的なイヌ属(Canis)との繁殖が可能であることは初めて判明した事実であり、驚きに変わりはないと述べています。
またスジオイヌ属に分類される動物種はみんな見た目がほぼ完全にキツネであり、名前にもすべて「キツネ(Fox)」が入っています。

チームはこのハイブリッド種に「グラコソーラ(graxorra)」 と 「ドギシム(dogxim)」 という2つの名前を与えました。
graxorraは、パンパスギツネのポルトガル語名である 「グラクサイム・ド・カンポ(graxaim-do-campo)」 と、メス犬を意味する「カチョーラ(cachorra)」との造語。
dogximは、グラクサイム(graxaim)の頭をドッグ(dog)に取り替えた造語です。
研究主任の一人であるフラビア・フェラーリ(Flávia Ferrari)氏は「彼女は内気で慎重な性格で、当初は人を警戒していましたが、時間が経つにつれて徐々に慣れ始めました」と話しています。

その後、彼女は同センターで完全に回復し、別の町の動物保護センターに移されましたが、2023年に入り原因不明の死を遂げているそうです。
チームはその後、彼女のようなハイブリッド種が同地の野生下でどれくらい起こっているかの調査を始めています。
というのも近年は人の住む地域の拡大に伴い、人間と野生動物だけでなく、人の飼っているペットと野生動物との接触の機会が増加しているからです。
これは病気の伝染だけでなく、今回のようなハイブリッド種が発生する可能性を高めます。
もしかしたらグラコソーラ(あるいはドギシム)も、何らかの理由で野生に戻ったオスの飼育犬が、メスのパンパスギツネと交配して生まれたのかもしれません。
交雑できない言われていた西洋タンポポと日本のたんぽぽもいまでは普通に交雑して雑種作り出してそっちの方が多いっていうくらいですしね。
ただ機会がなかっただけで実際は機会さえあればそういうことって普通に起こるんでしょうね。