ケンブリッジ大学が作成した「中世殺人マップ」
ケンブリッジ大学が作成した「中世殺人マップ」 / Credit:University of Cambridge – MedievalMurderMap
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中世英国の驚くほど詳細な事件ファイルがプロットされた『中世殺人事件マップ』 (2/3)

2023.10.01 Sunday

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詳細に記される殺人事件の数々

魚屋がギルバートの手を長柄斧で刺す

驚くほど事件の詳細が記されています
驚くほど事件の詳細が記されています / Credit:University of Cambridge – MedievalMurderMap

ちょうど700年前、ギルバートという名前の男が刺されたようです。かなり詳細に事件の内容が記してあります。

1323年9月29日、ロンドンの検視官と保安官は、ギッティントンのギルバートがブロード・ストリート区のイヴォ・パーセヴァルの家で死んでいるという報告を受け、現場へ向かいました。検視官と保安官は現場に到着後、周辺3区の陪審員を任命して調査を開始しました。

調査により、ギルバートは9月21日にイヴォの家で食事をした後、宿へ戻ろうとしていた途中で魚屋のロジャーとレジナルド・ローレンツと口論になりました。口論は暴力沙汰に発展し、レジナルドがナイフでギルバートを襲いましたが、ギルバートは棒で対抗しました。

しかし、ロジャーが斧でギルバートの手を攻撃し、ギルバートは重傷を負いました。

ギルバートはイヴォの家に戻り、治療を受けましたが、数日後の水曜日、朝6時に斧で受けた傷が元で亡くなりました。この事件はリチャード・ペラーズ、ローレンス・アット・ゲート、およびギルバートの弟ウィリアムによって目撃されました。

犯人とされるロジャーとレジナルドは事件後に逃走しました。

この事件の証拠品として、使用された竿とナイフは押収され、ブロード・ストリート区に保管されました。

殺人事件の調査に陪審員が任命されていますが、中世後期のイギリスでは、殺人の疑いがある被害者が発見されるとまず検視官が呼ばれ、地元の廷吏が陪審員を集めて調査を行うのが通常だったようです。

陪審員は、地元で評判の良い人物で構成されており、彼らの仕事は、目撃者への聞き込み、証拠の補完、そして容疑者を捕まえて事件の経過を明らかにすることでした。

ストリートミュージシャン、怒った家主に黙らされる

騒音問題は昔からあったようです
騒音問題は昔からあったようです / Credit:University of Cambridge – MedievalMurderMap

吟遊詩人という名のストリートミュージシャンが騒音問題を引き起こしていたようです。なお、黙らされたのはストリートミュージシャンですが、殺されたのは怒った家主のようです。

1324年5月3日、ロンドンのコーンヒル地区で毛皮職人のトーマス・リンが死亡しているのが見つかりました。

検視官と保安官が速やかに現場に向かい、周辺の区から陪審員を選出し、事件の調査を開始しました。

調査の結果、前日の夕暮れ時、吟遊詩人のトーマス・ソマーが、トーマス・リンの家の前で音楽を演奏していたことが判明しました。

これに怒ったリンは棒を手にしてソマーを追いかけ、ソマーの頭を叩きました。ソマーは反撃としてナイフでリンの胸を刺し、致命傷を負わせました。

リンは傷を負いながら家に戻り、真夜中に亡くなりました。

トーマス・ソマーは直後に逮捕され、ニューゲート刑務所に収容されました。

陪審員は他に目撃者や犯人がいないことを確認し、保安官はソマーが裁判が開かれるまで拘留されるよう指示しました。トーマス・リンの死体は検視され、傷の状態も確認されました。

このような街中の喧嘩から発生した小さな殺人事件でも詳細な記録が残っていることに驚きます。

しかし、ロンドンでは上記のような喧嘩や騒音問題から発展した殺人事件が目立ちますが、「学びの首都」と呼ばれるオックスフォードでは、ロンドンとは違い、殺人事件に特徴があるようです。

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