父親にとっても稀ではない「産後うつ」
父親にとっても稀ではない「産後うつ」 / Credit:Canva
health

男性も大変!「父親の産後うつ」をもっと認識するよう研究者が警鐘

2023.10.08 Sunday

「男性の役割」と「女性の役割」に対する私たちの見方は、時代と共に大きく変化してきました。

特に少子化問題とも関係する「子育て」に対しては、出産を控えた夫婦だけでなく、社会全体が関心を向けるべきでしょう。

例えば最近では、父親も「産後うつ」になることが徐々に認知されてきました。

そして今回、アメリカのイリノイ大学シカゴ校(UIC)医学部に所属するサム・ウェインライト氏ら研究チームは、子育て中の父親に対してスクリーニング(選別検査)を行い、その30%が「産後うつ」だったと報告しました。

現代では、父親も母親と同じく産後うつに警戒して、適切なサポートを受ける必要があるのです。

研究の詳細は、2023年9月19日付の科学誌『BMC Pregnancy and Childbirth』に掲載されました。

Should fathers be screened for postpartum depression? https://today.uic.edu/postpartum-depression-in-fathers/
Screening fathers for postpartum depression in a maternal-child health clinic: a program evaluation in a midwest urban academic medical center https://bmcpregnancychildbirth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12884-023-05966-y

産後に気分が落ち込む「産後うつ」

母親が「産後うつ」を発症することは、昔から認知されていた
母親が「産後うつ」を発症することは、昔から認知されていた / Credit:Canva

産後うつ病(PPD:Postpartum depression)」は、出産後に生じる気分障害の一種です。

母親は、身体が妊娠前の状態に回復するまで2~3カ月かかります。

この間に、ホルモンバランスの崩れや育児の疲れ・ストレスが原因で、産後うつになることが多いと言われています。

そして母親の15%が産後うつを経験するのだとか。

最近では、男性の「産後うつ」も知られるように
最近では、男性の「産後うつ」も知られるように / Credit:Canva

父親は、「仕事と育児の板挟み」や「育児に関する悩みを誰にも相談できない」ことが原因で、子供が生まれてから3~6カ月の間に産後うつを発症する確率が高いと言われています。

ちなみに男性の場合は、そのほとんどが自分の身体で妊娠・出産を経験するわけではないため、「産後うつ」ではなく「育児うつ」などと表現される場合もあります。(※本記事では男性も女性も「産後うつ」と表現します)

そしてこれまでの調査や研究によって、新しく父親になった人の8~13%が産後うつになると考えられています。

これまでの報告では、男性の方が産後うつになる確率は低いと報告されていました。

そのため、時代と人々の見方の変化はあるものの、未だに「父親の産後うつは稀だ」という認識を持つ人も少なくありません。

しかし、ウェインライト氏ら研究チームは、その認識を改めるよう警告しています。

次ページ検査によって「父親の30%が産後うつだった」と判明

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

健康のニュースhealth news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!