史上初の快挙!ウイルスが別のウイルスに合体する様子を発見!
史上初の快挙!ウイルスが別のウイルスに合体する様子を発見! / Credit: UMBC(2023), Tagide deCarvalho et al., Journal of the International Society of Microbial Ecology(2023)
biology

驚異の発見!別のウイルスに寄生するウイルスの姿を撮影!

2023.11.10 Friday

米メリーランド大学ボルティモア・カウンティ校(UMBC)の最新研究で、ウイルスが別のウイルスに合体している様子が世界で初めて確認されました。

ウイルスは一般に、ヒトを含む動植物やバクテリア(細菌)の細胞に感染することで知られます。

その一方で、ウイルスが別のウイルスに物理的にくっつくことは知られていませんでした。

では今回見つかったのはどんな種類のウイルスで、なぜ合体しなければならなかったのでしょうか?

研究の詳細は、2023年10月31日付で科学雑誌『Journal of the International Society of Microbial Ecology』に掲載されています。

UMBC team makes first-ever observation of a virus attaching to another virus https://umbc.edu/stories/first-observed-virus-attaching-to-another/ In world 1st, virus spotted attached to 2nd virus https://www.livescience.com/health/viruses-infections-disease/in-world-1st-virus-spotted-attached-to-2nd-virus
Simultaneous entry as an adaptation to virulence in a novel satellite-helper system infecting Streptomyces species https://www.nature.com/articles/s41396-023-01548-0

他のウイルスの助けがいる「サテライトウイルス」とは?

他のウイルスの助けがいる「サテライトウイルス」とは?
他のウイルスの助けがいる「サテライトウイルス」とは? / Credit: canva

先ほど言ったように、ウイルス同士が物理的に合体するケースはこれまで一度も確認されていません。

しかし一方で、他のウイルスの助けを必要とするウイルスの存在は知られていました。

それが「サテライトウイルス」です。

サテライトウイルスとは、感染性の核酸(DNAまたはRNA)であり、通常にウイルスのように単独でタンパク質を作ったり、宿主となる細菌の中で増殖することができません。

そこでサテライトウイルスは、宿主細胞の中で自己複製したり、自分の遺伝物質を保護するタンパク質の殻であるカプシド(capsid)を作るために「ヘルパーウイルス」の力を借りるのです。

ヘルパーウイルスは、サテライトウイルスのように単独では増殖できないウイルスを助ける働きをします。

といっても、ヘルパーウイルス側に何かサポートするメリットがあるわけではなく、単にその増殖能力をサテライトウイルスに利用されているだけです。

なんにせよ、ウイルスは微粒子であるため、同じ細胞に取りついてその機能を借りるためには、サテライトウイルスはヘルパーウイルスにくっついて行動する必要があると考えられますが、実際に両者が物理的に合体した姿は見つかっていませんでした。

しかし研究チームは、ほんの偶然から史上初となる発見に成功するのです。

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