煙の中にはナノサイズの金粒子が含まれている
なぜ雷金の爆発によって紫色の煙が発生するのか?これまでの研究による予測によれば、主な原因は煙に含まれる金のナノ粒子が引き起こす「局在表面プラズモン」と呼ばれる現象であるとされています。
なにやら難しそうな単語ですが、これは構造色が作られるのと同じ現象です。
例えば鮮やかな青い翅を持つモルフォ蝶は、翅の表面がカラフルな色素で覆われているのではなく、微小な構造が特定の波長の光を反射して、特定の色だけが目に見えるようになるからです。
これはCDやDVDの表面が虹色に輝いて見えるのも同じで、CDの表面にある細かい溝が特定の光の波長だけを反射させるからです。
同様にとても小さな金属の粒子が光を受けると、粒子の中の電子が光の波長に反応して一緒に振動します。
この電子の振動が、特定の色の光を強く反射することが知られています。
つまり、局在表面プラズモンは、金属のナノ粒子が光を受けて、特定の色を反射する現象と言えます。
これまでの研究では、爆発のときに発生する金ナノ粒子が、紫色の波長を反射するのに丁度いいため、煙の色が紫色になるのだろうと予測されていました。
しかし爆発時にどんな金ナノ粒子が本当に発生するかどうかは、調べられていませんでした。
そこで今回、ブリストル大学の研究者たちは、5㎎の雷金が爆発するときに発生する煙を、銅メッシュで捕捉し、透過型顕微鏡をしようして観察を行いました。
すると煙の内部には、下の図のように、30nm~300nmの球状の金ナノ粒子が含まれていることが判明しました。
この結果は、雷金の爆発した煙の中に球状をした金ナノ粒子が含まれていることを実証するものとなります。
また研究者たちは、球状をした金ナノ粒子が起こす表面プラズモン共鳴の効果や大きさなどの要素が絡み合って、紫色の光を反射していると結論しています。
現在、研究チームは今回の方法を使用して、銀・鉛・水銀など他の雷酸塩によって生成される煙の正確な性質と金属粒子の分析を予定しています。