アイタナ・ロペスは誰が創り出したのか?
アイタナ・ロペスの物語は、スペインでデザイナーをしているルベン・クルス(Rubén Cruz)氏がビジネス上の苦境に立たされていた2022年の夏に端を発します。
クルス氏は実際のモデルやインフルエンサーを起用して広告写真などをデザインする仕事をしていましたが、クライアントが急激に減り、多くの仕事がキャンセルされてしまいました。
クルス氏はこう話しています。
「仕事内容を分析したところ、多くのプロジェクトは、私たちの問題でキャンセルされたわけではありませんでした。
その原因のほとんどは広告のデザインではなく、広告に起用したモデルやインフルエンサーたちにあったのです」
クルス氏によると、エゴが強く、気分屋で、大金を稼ぎたいだけのモデルやインフルエンサーたちの気まぐれに振り回されて、彼らの仕事は立ち行かなくなっていたのだと言います。
そこでクルス氏は自身が創設したAIモデルエージェンシー「The Clueless」のチームと協力し、仮想上の女性モデルを創り上げることにしました。
それがアイタナ・ロペス(Aitana Lopez)だったのです。
技術革新が急速に進んでいる昨今では、AI(人工知能)を使うことで、本物の人間と見紛うばかりにリアルな人物を簡単に生成することができます。
また一度創った同じ人物をベースに、髪型や服装、ポージングを変えながら画像生成することも可能です。
アイタナに個性を持たせる
しかし、単に美しい女性の画像を作るだけでは、モデルとして人々の興味を引くことはできません。
クルス氏はこれまでの経験から、大衆はセレブやモデルの外見よりもむしろ、その人の私生活や趣味、旅行先をチェックするのが好きであることに気づいていたのです。
そこでチームは、アイタナに特徴的な個性を持たせることにしました。
まず、アイタナの年齢は25歳で、ピンク色の髪型を基本とします。
性格は明るく社交的であり、フィットネスやアウトドアが好きですが、ゲームも趣味という特徴を持たせました。
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クルス氏とチームは毎週、アイタナの私生活を創造する会議を行っており、彼女が1週間のうちに何をしてどこに行ったのかを決めて、写真作りを行います。
そして完成した写真を彼女の公式インスタグラム(fit_aitana)に公開するのです。
彼女のインスタグラムは瞬く間に人気を博し、ほんの2週間前まではフォロワー数が約12万4000人でしたが、現在ではすでに21万2000人を超えて増え続けています。
では、アイタナの存在は何をきっかけに人々の間で「バズった」のでしょうか?