冷淡に人を操る能力が「進化的に有利」なことも
「悪い男」の冷淡さや人を操る能力は、進化的な観点から生殖行動に有利にはたらく可能性があるようです。
セルビアの研究者らは、刑事施設で181人の男性受刑者を調査し、サイコパステストで高得点を取った受刑者ほど多くの子供を持つ傾向があることを発見しました(2017年に論文として発表)。
研究者らは、「人を操る能力や欺瞞などのサイコパシー特性(Psychopathy)が、特定の状況下では、進化的に有利な行動戦略となる可能性がある」と指摘しています。
研究者の発言は、サイコパシーの特性が繁殖において有利にはたらく可能性を示した一方で、「サイコパシーの感情的な無愛想さと冷淡さが生殖の成功と正の関係にあるのは、過酷な環境においてのみ」とも付け加えています。
特定の状況でなければ、サイコパシーの力は、生殖行動にはつながらないのかもしれません。
今回ご紹介した3つの研究は、「悪い男」が相手を惹きつけることが示されたものではありますが、どれも「短期的」で「限定的な条件下」というただし書きがつくものです。
表面的な魅力や操作されること、そして複雑な関係から受ける苦しみは、長期的な関係には適していません。
悪い男には抗いがたい魅力があります。しかし、「良い男」を選んで落ち着く女性は少なくありません。ちなみに、米国の別の研究(2005年)では、精神的サポートを優先する女性は、コミットしてくれる良心的なパートナーを選ぶ傾向があることを、最後に付け加えておきます。