「共感力の高さ」が不健全な関係を強化する
「悪い男」がもたらす不安と混沌に引き寄せられる人もいます。
悪い男は、断続的に喜びと苦悩を与え、これが複雑な関係を生むことがあります。
感情的な混乱に引き寄せられる理由はさまざまです。幼い頃の不安定な愛情、社会からの期待、過去の恋愛経験は、人間関係の形成において特定のパターンを生み出すことがあり、「外傷的絆(Traumatic bonding)」の文脈で研究されています。
外傷的絆は、虐待と報酬のサイクルが繰り返されることで形成される、被虐待者と加害者の間にある強い感情的な結びつきのことです。
たとえば「無視され続けたのに、ある日突然態度が豹変し、愛を囁かれる」などの「予測不可能な報酬と罰」は、複雑で強力な感情的結びつきを生むとされます。
2022年にナイジェリアで行われた研究は、「共感」がパートナーによる暴力と外傷的絆の関係に媒介的役割を果たす可能性が示されました。
研究では、家庭内性暴力を扱う施設の訪問者345名の女性(18~61歳)を対象に、外傷的絆の形成に関連する被害者の特性を統計的に分析されました。
結果、共感がパートナーに対する暴力を外傷的絆に変換し、強化する可能性が示されました。被害者が高い共感を示せば示すほど、不健全な関係が強化される傾向も高くなるということです。
共感力の高い人は、「悪い男」と複雑で強い結びつきを形成しやすい可能性があるのです。これはいわゆる恋人に振り回されたいという願望を持つ人が、特に注意すべき傾向かもしれません。