目標を紙に書き出すと本当に達成率が高まるのか
実験では、参加者267名を以下の5つのグループに分け、4週間後に達成した目標を考えてもらいました。
グループ1:目標を紙に書き出さない
グループ2:目標を紙に書き出す
グループ3:目標を紙に書き出し、行動計画を立てる
グループ4:書き出した目標と達成に必要な行動を友達に共有する
グループ5:書き出した目標と達成に必要な行動を友達に共有し、途中経過を報告をする
そして、4週間後に設定した目標の達成度を評価してもらいました。
さて目標を紙に書き出すことの有無や友達とその目標・行動を共有することは達成率をどう変えるのでしょうか。
実験の結果、目標を紙に書くか否かだけの差を見ると、目標を書かなかった人の達成率が約4.28%、対して目標を書いた人の達成率は約6.08%となりました。
この差を比率で示すと、目標を書くことで達成率は約42%高まったと言えます。
そして目標の達成率に関しては、「友達と目標を共有し、途中経過を報告した人」がもっとも達成率が高く、「共有だけする人」「目標を紙に書き出す人」が順に続きました。
この友達との目標の共有と進捗の報告は、自分以外の第三者に目標を宣言することになり、目標達成のための行動維持率を高めたものだと考えられます。
実際に、ダイエットやリハビリの分野の研究では、こうした行為が目標達成にプラスの効果をもたらすことが分かっています。
しかし今回の結果では、「目標を紙に書き出していない人」と「目標を紙に書き出し、行動計画を考える人」の間にはほとんど差がありませんでした。
この結果は、目標に向けた「行動計画を立てる」ことは必ずしも達成率にプラスの効果をもたらすのではなく、悪影響を与える可能性を示唆しています。
たしかに目標達成に必要な行動計画を立てることについては、日々の取り組む行動が明確になる分、達成率が高まるような気もします。
しかし逆に目標達成までの行動を明確にすることで、その時の状況の変化で融通の利く選択を取りにくくなるような視野の狭窄を起こすかもしれません。
また曖昧な目標の方が、達成までのプロセスで失敗したときなどにダメージが少ないなど、モチベーションの維持につながるのではないかと考えられます。
例えば「ダイエットのために毎日必ず1時間ジョギングする」という目標を立てた場合、出来なかった日があったり、これをすることが億劫になってしまうと、その時点で挫折してしまう事は確かにあるでしょう。
これは曖昧な目標の方が、継続的な努力を続けやすい可能性を示しています。
そもそもの達成率が6%程度ということを考えると、ほとんどの人は目標を立てても大体挫折するという事かもしれませんが、しかし目標を紙に書くだけで達成率が高まるのであれば、使わない手はないでしょう。
読者の皆さんもいま掲げている目標を紙に書き出してみてはいかがでしょうか。