今は存在しない星が1つ刻まれていた
石板の表側を見ると、グループ2のオリオン座(番号11〜15)の少し北側に1つの窪み(番号10として記す)が見られました。
これは現在の夜空を見ても存在しない星です。
しかし当時の人々はおそらく、ありもしない星を適当に石に刻んだわけではないかもしれません。
研究者らはこの謎の星について、大質量の恒星が一生を終えるときに起こす「超新星爆発」によって発生した光源を記した可能性があると指摘しました。
超新星爆発を起こす非常に重い星はその後、自分自身の重力を支え切れずに完全に潰れてしまうことで「ブラックホール」を形成します。
つまり、この製図の番号10で示された場所を観測してみるとブラックホールが見つかる可能性があり、もし確認されれば考古学のみならず天文学的にも興味深い発見となるでしょう。

チームは以上の結果から、この石板が夜空の星々をマップ化した「星図」と見て間違いないと結論しました。
また遺跡の年代を踏まえると、この星図が作られたのは少なくとも2400年以上前まで遡ると話します。
現在知られている星の位置を記した最古の図表は、古代ギリシアの天文学者ヒッパルコス(BC190年〜BC120年頃)が残した星表と見られています。
今回見つかった石板はこのヒッパルコス星表よりはずっと簡素ではあるものの、人類が星をマップ化したものとしては世界最古の一つとなるようです。