植物のように環境に合わせながら成長していくロボットを開発
研究チームが開発したロボット「フィロボット(FiloBot)」は、植物からインスピレーションを受けた自律成長ロボットです。
全体像を見ると、ミミズもしくはヘビのような見た目ですが、重要な要素が詰まっているのは、円錐型の頭部です。
この頭部には3Dプリンタような仕組みが内蔵されていて、絶えず胴体部分を生成しています。そして光センサーや重力センサーも内蔵されており、植物のように光、影、重力などの外部刺激を受け取って進むべき方向を決定します。
事前にプログラムされた動きをしたり、計画済みの経路で進んだりするのではなく、環境に合わせて自律的に進行方向を決定していくのです。
例えば、つる植物のように、木が作る日陰を認識して、その木に向かって伸びていきます。
また、その木に巻き付きながら、光で明るく、重力方向とは逆の方向へ伸びていくことができます。
そしてフィロボットは、移動する方法さえも植物に似ています。
フィロボットの頭部では、筒状の胴体を一層ずつ生成することができ、進行方向に向かって毎分約7mmという非常にゆっくりとした速度で成長していくのです。
生成された胴体はその場に残るので、頭部は絶えず「移動」するものの、全体としては「成長」や「伸びる」といった表現が適切かもしれませんね。
そしてフィロボットは環境に合わせて成長していくため、複雑な地形でも活用でき、しかも「環境を破壊しない」というメリットを持っています。
さらにフィロボットには、複雑なプログラムや機能は搭載されておらず、事前に地形図を読み込ませる必要もありません。
こうした特徴から研究チームは、変化しやすい環境や危険地域における監視・救援活動、未知の環境におけるルート開拓・インフラ構築に役立つ可能性があると考えています。
「つる植物のようなロボットが、自分の体をあらゆる場所に張り巡らしていく」
もしかしたら、そんなSFチックな将来もありえるのかもしれませんね。