世界初のワクチン、天然痘ワクチン
やがて18世紀末になると、エドワード・ジェンナーによってこれらの手法を科学的に明らかにしようという試みが起こりました。
彼が住んでいた地方では牛飼いや乳搾りする女性は日常の仕事の中で牛痘(牛痘ウイルス感染を原因とする感染症、人間にも感染するが軽症で済む)にかかっているので天然痘に罹患しないことが知られており、彼はこれに着目したのです。
彼は実験にて牛痘の接種が天然痘の予防に有効であることを発見し、1800年に結果を論文にまとめました。
先述したようにジェンナーの研究以前もワクチンに似た概念はありましたが、それらの方法はリスクが高く、接種の後に命を落とす人も決して少なくはなかったのです。
しかしジェンナーの牛痘接種法は死亡例がほとんど見られず、それ故世界中に広まりました。
ジェンナーの種痘法は感染症に積極的に介入して疾患の発症を抑えた初めての偉業とされ、医学の歴史において特に偉大な発見とされています。