ジェームズ・ギルレーによる、天然痘の予防接種に対する風刺画、予防接種を受けた人々の体から牛が生えている
ジェームズ・ギルレーによる、天然痘の予防接種に対する風刺画、予防接種を受けた人々の体から牛が生えている / credit:wikipedia
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似たようなことは昔もあった!最初のワクチンはどんな経緯で登場したのか?

2024.02.04 Sunday

現代の医療において、ワクチンは欠かせないものとなっています。

しかしワクチンが歴史の舞台に登場したのは比較的最近であり、それまでは使われていませんでした。

果たしてワクチンが誕生する前は、どのような方法で病気の感染を予防していたのでしょうか?

本記事ではワクチンが開発される前にやっていたそれに近い医療方法について紹介しつつ、最初のワクチンの開発とそれに対する反対運動について取り上げていきます。

なおこの研究については、帝京短期大学紀要2016p-125-132に詳細が書かれています。

2016|定期刊行物|帝京短期大学 (teikyo-jc.ac.jp) https://www.teikyo-jc.ac.jp/periodicals_category/2016#content-fill

ワクチン以前にも似たような発想はあった

天然痘ウイルス、長きにわたって人類を苦しめてきた
天然痘ウイルス、長きにわたって人類を苦しめてきた / credit:wikipedia

現代社会にて恐れられている感染症は数多くありますが、近代以前においては天然痘が最も恐れられていた感染症でした。

天然痘は強い感染力をもち、感染したら20~50%の人が命を落とします。

また運よく回復したとしても顔などにあばたを残すことになり、それゆえ多くの人から恐れられていました。

そのようなこともあって人類と感染症の歴史において、天然痘との戦いは非常に大きな比重を占めていたのです。

天然痘を防ぐための方法には古今東西様々なものがありましたが、現代のワクチンに似た手法は古代にもあり、例えばエジプトでは天然痘から回復した人に看護を担当させて、これ以上の天然痘の拡散を防いでいました。

またインドでは天然痘の患者の着物で子供を包んで抗体を付けようとしていました

中国ではかさぶたの粉末を吸引したり、乾燥末を注射したりしていたのです。

この手法はやがてヨーロッパへと伝わり、1710年にはウェールズの王子が東方の手法でかさぶたの粉末を受け、これが種痘と呼ばれました

これらは明確に理解されていなくとも、古くから人類が免疫の概念について意識していたことを示しており、こうした歴史的な実践が病気の予防法を模索するヒントになり、ワクチンの基礎となったのです。

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