水中適応でイルカの身に起きた現象とは?
イルカを含む鯨類は今から約5000万年前に、陸上生活から水中生活へと移行し始めました。
現在ではイルカもクジラもすっかり水生動物となっており、陸上にいた時代の面影は見えません。
彼らは水中生活に適応するために新しい体の器官を進化させています。
例えば、四肢の代わりにヒレを、体毛の代わりに滑らかな皮膚を得たり、また水が口内に入り込む水中では餌をうまく噛めないため、丸呑みする能力を得ました。
このように新たに手にした形質を「新奇形質」といい、何かを失う代わりに別の新しい機能を獲得することを「トレードオフ進化」と呼びます。
イルカの耳も同じです。
陸上時代の外に張り出た耳は水中生活に不向きなため、イルカはこれを捨てて小さな穴に変えました。そして鯨類のこの耳の穴は塞がっているため、ほとんど音が聞こえません。
そのためイルカは顔に届いた音を内耳に届けるため、頭部の中に「音響脂肪(メロン)」と呼ばれる組織を発達させたのです。
これは脂肪が筋肉よりも音波を伝えやすい性質があることを利用したものと見られます。
イルカが超音波を使って周囲の状況を感じ取っているのは有名ですが、こうした音波を感じ取れるのも音響脂肪によるものです。
では、イルカの音響脂肪はどこから進化したのでしょうか?
研究チームは今回の新たな調査で、その答えを見つけました。