火星の大接近
大接近とはいっても、火星が地球に衝突するほど近づくわけではありません。火星が地球に接近するというのは、具体的にどういう現象なのでしょうか?
太陽系の惑星は、それぞれ違う軌道や周期で太陽の周りを公転しています。このため、地球や火星などの位置関係は絶えず変化しています。
火星は地球よりも外側の軌道を公転していて、その公転周期は687日、地球の公転周期は365日です。地球が火星よりも公転速度が速いため、約780日(約2年2ヶ月)ごとに地球は火星に追いつき、追い越します。この時、火星と地球の距離が最も近くなります。この現象を「最接近」と呼びます。
しかし、火星の最接近は、いつも同じ距離で起こるわけではありません。地球の軌道は円に近い形をしていますが、火星の軌道は楕円形です。
そのため、地球と火星の軌道の幅は一定ではありません。また、火星の最接近の周期は2年ちょうどではなく、約2年2ヶ月です。このため、最接近のときの地球と火星の位置は毎回ずれていきます。そして、最接近の距離も毎回異なるのです。
地球と火星の軌道が最も近い最接近のこと「大接近」といいます。一方、地球と火星の軌道が最も遠く離れている状態の最接近のことを「小接近」といいます。
大接近のときの地球と火星の距離は約5600万km、小接近のときは約1億kmとおおよそ2倍の差があります。
火星最接近のときは、地球から火星が普段より明るく大きく観測できるため、ニュースなどでもよく話題にされます。