赤い惑星
火星は、地球の一つ外側を回る惑星で、半径は地球の半分ほどで、質量は地球の10分の1です。自転周期は地球とほぼ同じなので、1日の長さは地球と同じぐらいです。太陽からの距離は、地球よりも1.5倍遠く、公転周期は1年と10ヶ月半ほどです。
また、地球と同じように太陽に対して自転軸が25°傾いた状態で公転しているため、火星には季節が存在します。
火星が赤く見えるのは、その表面に酸化鉄が多く含まれているからです。火星の表面には酸化鉄を含む土や岩石が多くあり、これが太陽の光を反射して赤く見えるのです。
酸化鉄は鉄が酸素と結合してできる物質ですが、現在の火星には酸素はほとんどありません。火星表面の酸化鉄がどのようにしてできたのかはっきりとはわかっていませんが、いくつかの仮説が考えられています。
そのひとつが、かつて火星に大量に存在したとみられる水が分解されて酸素が作られたという説です。現在有力な仮説の一つでは、火星には30数億年前に表面の20%が海になっていたと推測されています。
海から蒸発した水分子が太陽から放射された紫外線や荷電粒子によって酸素と水素に分解され、軽い水素は宇宙へ逃げていきます。一方酸素は火星の表面に含まれていた鉄と結びつきました。そのため、火星の表面は酸化鉄に覆われて赤い色をしているのです。
そんな火星の地面は地球から望遠鏡でも直接観測できます。
その理由は火星の大気がとても薄いからです。実際、火星の大気圧は地球の100分の1ほどしかありません。大気圧が低いということは、火星の大気が非常に薄いことを意味します。
そんな火星の大気はほとんどが二酸化炭素です。二酸化炭素は地球では温室効果ガスとして問題にされていますが、火星の場合、この大気の量では温室効果を生むには不十分なため、火星を温める効果はほとんどありません。
そのため火星表面は太陽に照らされている昼間は比較的暖かくなりますが、夜になると急速に冷え込み、平均気温は赤道付近でも約-50℃ほどと非常に低温です。