Mars
Mars / Credit:NASA/JPL/MSSS
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夕焼けは青色!『火星』ー最も多くの探査機が訪れている惑星 (6/6)

2024.08.12 Monday

前ページ火星の大接近

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火星に住んでみる

火星は荒涼とした大地が広がる星です。水はなく、大気も薄いため、人間の住める場所とは程遠い環境です。ただし、最近の調査では、水の流れた跡や水によって形成された物質が発見され、大昔には水が存在した可能性が示唆されています。さらに、現在では地下に氷として水が残っている可能性も浮上しています。

人類は文明を発展させていく過程で、周囲の環境を自らの生存に有利なように作り変えてきました。例えば、森林を伐採して農地を拡大したり、沼地や浅瀬を埋め立てて都市を建設したりしてきました。これを惑星全体のスケールで行うのが「テラフォーミング」です。

「テラフォーミング」とは、一般に、生命が存在しない惑星を地球のように人類が居住可能な環境に変えることです。現在の段階では、太陽系内で最も地球に似た条件を持つ惑星である火星が、その可能性が高く、テラフォーミングの第一候補とされています。

火星のテラフォーミングの第一段階は、地球と同じような気温に引き上げることです。

現在の火星の気温は-63℃であり、これを上げる必要があります。そのためには、太陽の光を反射させるために宇宙空間に巨大な鏡を設置するというアイディアや、火星の表面を光を吸収しやすい黒い物質で覆うことで火星を温める方法などが考案されています。

また、火星を暖めることで極冠にあるドライアイス(固体二酸化炭素)が融けて二酸化炭素の大気が生まれるという効果も期待されています。これにより温室効果が生まれ、火星全体が徐々に暖かくなる可能性があります。

次に、人間が呼吸するために酸素が必要です。酸素を生産する手段の一つとして、シアノバクテリアの光合成を利用することが考えられます。シアノバクテリアは地球から火星に持ち込むことになります。

さらに、人が居住するためには水や食糧も欠かせません。人間は水分を摂取しないと3日も生きられません。また、飲料水の他にもコンクリートを使って建物を建設しようとすると大量の水が必要です。

そこで、関心を集めているのが火星の地下に氷の状態で保存されている可能性がある水の存在です。

現地で水が手に入れば、生活用水や産業用水として利用できます。また、食料生産も重要な問題です。現在、火星や宇宙空間での植物栽培に関する研究が進行中であり、火星の土壌に近い環境で農作物を育てる研究をしている研究者もいるようです。

NASAは2030年代に宇宙飛行士を火星に送り込む計画を発表しています。そのためには地球と月の間に宇宙基地を建設し、そこから火星への探査を行う予定です。

Humans to mars
Humans to mars / Credit:NASA/The Humans to Mars Summit

このような挑戦的な計画には、いろいろな技術的な課題がありますが、火星への移住は徐々に実現に近づいてきているようです。現在、小学校に通っている子供が成人して社会で活躍するころには月周辺の基地も完成して、「さあ、火星へ出発」という時代が到来しているかもしれません。

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夕焼けは青色!『火星』ー最も多くの探査機が訪れている惑星 (6/6)のコメント

ジラフ

3ページ目に記載されている内容に疑問があります。
地球の大気の分子の大きさが、青い光の波長と同じくらい、
火星の大気中の塵の大きさが赤い光の波長と同じくらい、
と言う部分はそれぞれの大きさを記述すべきでは?
また、青い光が散乱されにくい、と言う記述は、通常の散乱の仕組みとは全く異なる内容なので、詳しい説明が必要と思います。

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