宇宙は137億歳なのに観測可能な宇宙の直径が930億光年である理由とは?
宇宙は137億歳なのに観測可能な宇宙の直径が930億光年である理由とは? / Credit:Canva . 川勝康弘
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宇宙は137億歳なのに観測可能な宇宙の直径が930億光年である理由とは? (3/3)

2024.03.20 Wednesday

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観測可能な宇宙の直径と全宇宙の直径

観測可能な宇宙の直径は930億光年

地球の大きさからはじめて、ヘラクレス座・かんむり座グレートウォールに達したことではじめて観測可能な宇宙の一部までみえてきました。

観測可能な宇宙の直径は約930億光年と考えられており、地球からは、その半分となる半径465億年先に、その淵があると考えられています(参考文献※2)。

たとえば、現在観測できる最も遠方にあると考えられる、宇宙マイクロ波背景放射はビッグバンから37万9000年後に発せられた光が、465億光年よりわずかに短い、およそ460億光年先の空間から届いたと考えられています(参考文献※4)。

「約137億年前に発せられた光が460億光年離れた地球に届く」というと、光速度限界の観点からは奇妙に聞こえるでしょう。

アインシュタインの特殊相対性理論によれば、どんな物体も光の速度を超えることはないとされているからです。

ただこの理論は、宇宙が平らな(曲率がない)時空から構成されている場合に限った話であり、実際の宇宙は膨張し続けています。

つまり「宇宙の年齢が137億だから、宇宙の半径は137億光年だ」という考え方は、膨張しない宇宙で考えた場合の話なのです。

そのため光が放出された「時間」から光が届くまで進まなければならない「距離」を算出するには、宇宙の膨張率を考慮しなければなりません。

この膨張率が、137億年前(時間)と465億光年(距離)のズレの要因となっています。

ただこの半径465億光年という数値は、ビッグバン以降の宇宙の晴れ上がりと光を基準にしています。

宇宙の晴れ上がり前は光が真っ直ぐ進むことができないため、それより前に存在した光があったとしても観測可能にならないからです。

一方、光の限界を超える方法として重力波が期待されています。

宇宙の始まりについて私たちの多くは「ビッグバンによって超高密度の「点」が爆発的に膨張して宇宙になった」と考えられています。

実際、昔の子供向け科学雑誌にはしばしば、そのように記載されています。

しかし現在、ビッグバンは宇宙の始まりとは考えられていません。

ビッグバンは宇宙の始まりではない
ビッグバンは宇宙の始まりではない / Credit:早稲田大学、宇宙の始まりの頃の様子を、重力波を使って明らかに

現在の宇宙論では、まず超高密度の「点」であった宇宙の素がインフレーションによって急激に膨張して一時的に冷え、その後再加熱されたと考えられています。

そして幼い頃の私たちがビッグバンだと思っていたのは、この再加熱現象であることが明らかになりました。

私たちの宇宙は誕生した直後から

「超高温超高密度の点」➔インフレーションで急膨張して冷却➔再加熱(ビッグバン)➔素粒子の誕生➔ヒッグス粒子の性質変化➔原子の誕生➔星々の誕生➔現在の宇宙

と目まぐるしく様相が変化していったのです。

全ての力から重力が分離したのは宇宙誕生から10のマイナス43乗秒過ぎであると考えられており、ビッグバンより以前のインフレーション時代の宇宙の様子を探れるかもしれないからです(参考文献※3)。

現在、世界各国で重力波の測定プロジェクトが行われています。

もしかしたら近い将来、観測可能な宇宙の定義が光を基準にしたものから、重力を基準にしたものへ変わるかもしれません。

観測可能な宇宙の向こうにある全宇宙の直径

画像
Credit:Canva . 川勝康弘

観測可能な宇宙の外側を含む全宇宙の大きさを計算するには、ビッグバンよりも前に起きたインフレーションによる膨張率も考慮しなければなりません。

しかし予測結果はまちまちであり、一般には1.5×10 34億光年とする意見がみられる一方で、もっと大きな数値を主張する人々も存在します。

たとえば過去に行われた他の研究では、インフレーションの膨張率はほぼ無限に近い可能性があり、宇宙の直径は10の10乗の10乗の123乗という指数タワーのスケールによって、はじめて表現できると推定されています(※参考文献1)。

このような巨大数の前では、全ての単位は無意味になります。

元となる数字が1kmと1光年では計算結果が40兆倍以上違いますが、指数タワーという異常な数の前では、元の数値の何倍であるかは、物理的に何の価値も生まなくなってしまうからです。

単位というのは、物理的な概念を伴ったものであり、単位が結果に影響を及ぼせないレベルの指数タワーの前には無力です。

実際、物理学者のなかには全宇宙の大きさは文字通り無限であると述べている人もいます。

まさに宇宙の広さは計り知れないと言えるでしょう。

【編集注 2024.04.10 11:00】
記事内容に一部誤りがあったため、修正して再送しております。

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宇宙は137億歳なのに観測可能な宇宙の直径が930億光年である理由とは? (3/3)のコメント

ゲスト

> ざっとまとめると「1光年=27万AU=9.46兆km=0.306601パーセク」となります。

1光年は60万AUくらいでは?

> このローカルグループの直径はおよそ326万光年(3メガパーセク)となっています。

326万光年は100万パーセク=1メガパーセクですよね?

ゲスト

> 天の川銀河系の直径は約15万光年となっています。

天の川銀河の直径は約10万光年と言われる事が多いですが、15万光年という新計測結果が最近出たのでしょうか? そうでしたら引用元を記載して頂けると助かります。

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