・遺伝子と社会的行動や孤独の関連を調べるための45万人規模の大規模な研究が行われた
・孤独感の原因の一部として関連ある15の遺伝子座がみつかった
・孤独感と肥満に関わる遺伝子は経路を共有しており、体重を落とすことで孤独感を和らげることが推奨される
孤独感は、多くの人が一人で生活したり、友達や家族に会いに行くことも少ないという「現代生活」にその責任を求めることが多いです。しかし新たな研究で、遺伝子が人を社会的な孤立で、その責任の一端を担っている可能性が示されました。
https://www.nature.com/articles/s41467-018-04930-1
今月3日、“Nature”に発表された研究で、人々を孤独を感じさせると思われる15の遺伝子座の変化が発見されました。これは被験者が45万人を超えるという、かつて無い規模の「孤独」に関する研究で、孤独感の約5%は両親から遺伝したということを意味しています。
また、「肥満」も孤独感と強い遺伝的なリンクが有ることがわかりました。専門家は、ダイエットを始めたり運動する習慣をつけることで、孤独感を和らげられると考えています。
孤独遺伝子を特定したケンブリッジ大学の研究者たちは、孤独遺伝子の影響は軽微なものであることを強調しています。しかし、これらの遺伝子は感情的な自制心と関わりのある脳領域とリンクしており、なぜ一人でも幸福な人とそうでない人がいるのかを説明できるものです。
研究を率いたジョン・ペリー博士は、「わたしたちは、純粋に周りの環境や人生経験だけによって孤独に追い込まれると考えがちですが、この研究は遺伝子も関わっている可能性を示しています。孤独は、特に高齢者の間で主要な社会問題であり、遺伝子と環境の両方の因子による影響を調べるのは重要だと考えています」と述べました。
科学者たちは国家的遺伝子研究UK Biobankから452,402人の解析を行い、彼らのDNAとアンケート結果を比較しました。アンケートでは、「一人で住んでいるか」「どれくらい友達や家族を訪問するか」や、「身近な人に打ち明け話をどれくらいの頻度できると思うか」 といった質問がされました。
結果によると、孤独であると分類された人々は、DNAの15の遺伝子座で異なる変化が見られました。同様の遺伝子変化は、神経症傾向が高い人や、抑うつ傾向が高い人、肥満傾向の強い人でも見られました。体重増加と孤独感は遺伝子経路を共有しているため、体重を落とすと孤独遺伝子の振る舞いを変えることができ、一人でいる時に寂しく思うことが少なくなるのです。
この遺伝学研究はまた、私たちが楽しむ活動、例えば酒場へ行ったりジムや宗教活動に参加したりといったものに関わる遺伝子も見つけました。ジムやスポーツクラブに参加することを促す6つの遺伝子があり、その中の1つはリスクを犯す行動ともリンクしていました。他にも13の遺伝子によって一週間に一度、酒場や社交クラブに参加する傾向を予測でき、18の遺伝子が宗教グループの活動とリンクしていました。
via: Mail Online / translated & text by SENPAI
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