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【暗殺の心理学】トランプ氏が味方のはずの共和党員に撃たれてしまった理由

2024.07.15 Monday

2024年7月13日のドナルド・トランプ前大統領暗殺未遂事件の発生は多くの人々を驚かせ、選挙戦にも大きな影響を与えると考えられます。

ただ今回トランプ氏を撃ったのは、対立政党の支持者などではなく、共和党員だったと報道されています。

なぜ共和党のトランプ氏が、同じ政党の党員に撃たれてしまったのでしょうか。

今回は選挙の趨勢とは別に、暗殺の原因について論じた最新の心理学研究から、その理由を読み解いていきましょう。

人類が政治を行い始めてから今日に至るまで、政治的暴力は常に発生し続けています。

なぜ人々は自分の意思を投票ではなく、暴力をもって解決しようとするのでしょうか? また暗殺者が敵ではなく、味方の中から生まれてしまうのはなぜなのでしょうか?

研究内容の詳細は『American Politics Research』にて発表されました。

Partisan Bias in Episodes of Political Violence https://doi.org/10.1177/1532673X241236198

暗殺を心理学で読み解く

最近の研究により、暗殺(政治的暴力)を支持する根本的な動機や特性について重要な洞察が得られています。

ここでは、この問題に光を当てる最近の研究結果を紹介したいと思います。

政治的仲間への処罰が最も激しい暴力を引き起こす

政治的仲間への処罰が最も激しい暴力を引き起こす
政治的仲間への処罰が最も激しい暴力を引き起こす / Credit:Canva

トランプ大統領を銃撃した犯人の身元に関する情報の中から、犯人がトランプ氏が属する共和党の党員であったことが判明しました。

この事実に関して、少なくない人々が「なぜ?」と疑問に思ったはずです。

普通に考えれば、共和党員の犯人にとって最も許せないのは、対立する民主党のバイデン大統領が当選してしまうことです。

共和党に属するトランプ氏と自分の政治的意見が一部合わなくても、民主党のバイデン大統領が当選してしまえば、より自分の意見と違う政策が多く実行されてしまうはずです。

しかし歴史的にみて、同じ政治的組織や宗教に属する仲間への暴力が、全く異なる政治的組織や宗教に属する人々に対する暴力よりも激しくなり得ることがわかっています。

例えば、キリスト教やイスラム教などの宗教では、異端に対する暴力が異教徒に対する暴力よりも激しかったことが知られています。

また、共産党内部でも、最終的に妥当すべき資本主義者に対しては攻撃しなかった人々が、同じ共産党内部の意見が違う人々に対して残忍な行為に及んだ例が多くあります。

American Politics Researchに掲載された別の研究では政治的ライバルに比べて同じ政治的所属を持つ人々に対する政治的暴力に対してより厳しい罰則を好む傾向があることが示されました。

この研究ではアメリカの南西部の大規模大学の学生 342 名を対象に実施されました。

調査に当たってはまず被験者たちに殺害予告を送った学生についての架空の報告書を読んでもらいました。

また報告書にはこの学生の政治的信条についても記載されており、支持する政党は民主党・共和党・またはランダムとされました。

次に研究者たちは被験者たちに対して、加害者にどのような罰則が望ましいかを尋ねました。

すると加害者の学生が自分の支持する政党と同じだった場合(被験者が共和党支持で加害者が共和党支持だった場合など)、被験者たちは加害者に対してより重い罰則を求めることが判明しました。

この結果から、人間は同じ政治的信念を持つ人間に対して、より厳しくなることがわかります。

他にも、身近な人や同じ組織内のメンバーとの対立は、感情的な反応を引き起こしやすくなることが報告されています。

これは「近接性の影響」として知られ、近い関係にある人々との対立が深刻化する現象を説明しています。

さらに、組織内の対立は「純粋性の追求」と関連していることも指摘されています。

特にイデオロギー的な組織では、内部のメンバーがそのイデオロギーに忠実であることが強く求められ、少しでも異なる意見やアプローチが「裏切り」と見なされ、激しい攻撃の対象となることがあります。

同じ政治的思想を共有する仲間だからこそ、細部の違いにより強く、許せないという気持ちが出てしまうのです。

このように仲間に対する厳しさ、接近性の影響、純粋性などの要因により、仲間内への暴力は敵に対する暴力よりもしばしば苛烈になり得ます。

今回の暗殺未遂事件は犯人が既に死亡しているため、詳しい動機については不明です。

ですがこれまでの歴史を振り返れば「同じ共和党員としてトランプ氏を成敗する」という名目を犯人が持っていたとしても不思議ではないでしょう。

【暗殺の心理学】トランプ氏が味方のはずの共和党員に撃たれてしまった理由のコメント

ゲスト

容疑者の動機の解明が進んでからならともかく、現時点では共和党の党員資格を持っているというだけでこのような記事を上げるのは時期尚早であり、むしろ執筆者の政治的偏向を感じる。

    タケル君

    残念だが今回の論考は無駄骨と言える。なぜなら,犯人は会場に入ってトランプ氏を殺害する為に,事前に共和党員になったのであって、共和党員だったのに心変わりして殺人犯になった訳じゃない。この単純な事実がわからないで,したり顔で理屈を組み立てては人間の真実に至る事は出来ない。

最近の研究結果と現実は違う

「人間は同じ政治的信念を持つ人間に対して、より厳しくなる」これは
研究結果として良いでしょう。しかし、今回の犯人がトランプ氏が属する共和党の党員であったこととは関係ありません。犯人が共和党員であったのは、共和党の大統領候補者選で反トランプに投票するためです。ペンシルベニア州は党員でなければ投票できないので、犯人は共和党の別の候補者に意図的に投票するために共和党員であったというだけです。ちなみに犯人は民主党に寄付してます。情報を精査してから書いたほうが良いのでは?

    タケル君

    残念ながら、今回の論考は当てはまらない。なぜならはんにんは

ゲスト

また、共産党内部でも、最終的に妥当すべき資本主義者に対しては攻撃しなかった

誤→妥当すべき
正→打倒すべき
かな?

このコラムをもっと追求して拝読したいです。参考になります

ゲスト

black sheep effectのことか?

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