なぜ悲鳴を上げたままミイラ化されたのか?
この叫ぶ女性ミイラは記号的に「CIT8」と呼ばれており、1935年にエジプトの都市・ルクソール近郊で発見されました。
女性ミイラは、エジプト第18王朝に存在した王室建築家センムートの墓の下に埋葬されており、年代は紀元前1479〜1458年頃のものと考えられています。
発見以来、女性のミイラは多くの考古学者たちの注目を集め、さまざまな憶測を呼んできました。
叫びの表情を留めたままミイラ化されたケースがきわめて珍しかったからです。
古代エジプトの防腐処理者たちは遺体をミイラ化する際に、下あごと頭蓋骨をしっかり固定して口を閉じる処置をすることが普通でした。
口が開いたままのミイラもなくはないですが、この他に数体ほどしか知られていません。
では、どうしてCIT8は叫びの表情を留めたままミイラ化されるに至ったのでしょうか?
この謎を解明すべく、研究チームはこれまでで最も詳細なCIT8の調査に取り掛かりました。
チームは遺体にダメージを与えることなく、隅々まで調べるため、走査型電子顕微鏡、赤外分光法、X線分析などを駆使した”バーチャル解剖”を試みています。
果たして、結果はいかに?