キツさがやりがいにつながる?
筋トレのセットの組み方については、特定の種目を数十秒から数分の休息を挟みながら繰り返す方法が一般的で、Traditional set(伝統的なセット)と呼ばれています。
例えば、ベンチプレスを1分の休息を挟んで3セット行うといったスタイルです。
これに対して、最初に下半身を鍛えるスクワットを行い、次に上半身を鍛えるベンチプレスを実施するように、違う筋肉のグループを連続的に鍛える方法は、「スーパーセット」と呼ばれています。
ペデルセン氏らの別の研究では、筋トレ経験を持つ男女を対象に、伝統的なセットとスーパーセットをそれぞれ実施してもらい、要した時間、キツさ、好みなどを調査しています。
この際、伝統的なセットでは1種目ごとに2分の休息を設けたのに対し、スーパーセットでは異なる筋群を2種目連続で実施した後に2分間の休息を取ります(セット数はともに3セット)。
その結果、全種目を終えるのに要した時間は、伝統的なセットが58分だったのに対し、スーパーセットでは35分と大幅な時間短縮につながりました。この時間の差は、スーパーセットでは、2種目を実施してから休息を取るため、当然の結果と言えるでしょう。
一方、トレーニング後のアンケートによると、参加者はスーパーセットで運動のキツさや不快感をより強く感じていることが明らかになりました。これも、休息なしに2種目を連続で実施したため、理解できる結果です。
しかし、参加者にどちらの方法を普段のトレーニングで採用するか尋ねたところ、意外にも、18人中11人がスーパーセットを選びました。
なぜ、キツくて、不快に感じるのに、スーパーセットを選ぶ人が多いのでしょうか?
まず、トレーニング時間が短いスーパーセットは、トレーニング効率に優れ、忙しい生活の中でも続けやすいと思った可能性があります。
また、キツいトレーニングは敬遠されがちですが、いざやり終えたら、達成感を得やすいという心理的要因も影響しているかもしれません。
特に、今回の参加者は筋トレ経験を持つ人たちだったため、辛いトレーニングを乗り越えることの意義を実感していて、スーパーセットを好んだ可能性がありそうです。
この研究はそれぞれの方法を1回実施した際の結果ですが、他の研究でもスーパーセットは伝統的なセットと同じぐらいトレーニング効果が得られることも示されています。
「キツい」と聞くと、トレーニングを続ける上でマイナスに感じることが多いですが、実際には、継続できる人たちは、その「キツさ」を乗り越えることで達成感や楽しさを見出し、それが続ける源となっています。
筋トレを続けたいと考えている方は、時にはキツくて不快なトレーニングに挑戦してみてはいかがでしょうか?
挑戦した先には、新たな達成感が待っていて、それが継続の糧につながるかもしれませんよ。