1回が長めで頻度が低めvs 1回が短めで頻度が高め どちらが続けやすいのか?
現代社会では、タイパという言葉をよく見かけるようになったことからも明らかなとおり、時間対効果が求められ、短時間トレーニングが人気です。
では、1週間のトレーニング時間が同じ場合、1回のトレーニング時間が長く頻度が低い場合と、1回が短めで頻度が高い場合では、どちらが続きやすいのでしょうか?
この疑問に答える研究として、ノルウェーの西ノルウェー応用科学大学(HVL)のペデルセン氏らが2022年に発表した実験結果があります。
研究では、筋トレ経験がなかった若い女性たちを対象に、次の2つのグループに分けました。
・全身法群
・分割法群
このうち、全身法群は1回のトレーニングで全身8種目を実施したのに対し、分割法群は上半身の日と下半身の日に分けて、トレーニングを行いました。
各種目のセット数は3セットで揃えているため、全身法群は1回のトレーニング時間が長くなる一方、ジムに行く回数が分割法群の半分で済みます。
12週間にわたるトレーニングの結果、筋力や筋肉量は両グループで同じくらい増加しました。
この結果は、一度に全身の主要部位に刺激を与える全身法と、上半身と下半身に分けて鍛える分割法のトレーニング効果が同等であることを示しています。
さらに興味深い事実として、分割法群では15%を超える参加者が「時間の欠如」を理由に途中でリタイアしましたが、全身法群ではそのような理由でリタイアした人は一人もいませんでした。
これは、トレーニングを始めたばかりの人にとって、1回のトレーニング時間の長さを気にするよりも、週当たりのジムに行く頻度を抑えるアプローチの方が続けやすいことを示唆しています。
もちろん、個々の好みによっては、1回のトレーニング時間が短く、頻度を高めた方が習慣化につながる場合もありますが、全身法はジムに行く回数を抑えられるため、おすすめのアプローチです。
時間が長いと聞くと、継続へのハードルが高いと感じるかもしれませんが、「時間が長いけれど頻度が低い」と「時間が短いけれど頻度が高い」のどちらが自分に合っているのか、自分の生活リズムを考慮しながら最適なアプローチを探ることが大切でしょう。
次のページでは、筋トレのセットの組み方とトレーニングの継続性について、意外な視点を説明します。