本記事では、筋トレの追い込み度合いがトレーニング効果に及ぼす影響を解説
本記事では、筋トレの追い込み度合いがトレーニング効果に及ぼす影響を解説 / Credit: Canva
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筋トレのセットは最後まで追い込んだ方が良いのか?

2024.10.16 Wednesday

筋トレ初心者がトレーニングを始めると、気になる要素がたくさん出てきます。

その中でも代表的な疑問は、その種目をどれぐらい追い込んだら良いのかというものです。

ジムや公共の体育館などのトレーニング施設には、「10回×3セットを目安」など、初心者向けにアドバイスが記載されています。

しかし、実際には使用する重さによって、そもそも何回できるかが変わるため、同じ10回でも追い込み度合いは異なります。

この疑問に対して、研究者たちは、そのセットをできなくなるまで実施するのか、あるいは、あと何回できる余力を残して終わるのかといった追い込み度合い・余裕度の観点からトレーニング効果の差異を調べています。

本記事では、筋トレの追い込み度合いについて、筋肥大と筋力向上という目的別にその影響を説明します。

New study reveals sweet spot for muscle growth https://www.news-medical.net/news/20240801/New-study-reveals-sweet-spot-for-muscle-growth.aspx
Effects of resistance training performed to repetition failure or non-failure on muscular strength and hypertrophy: A systematic review and meta-analysis https://doi.org/10.1016/j.jshs.2021.01.007 Exploring the Dose–Response Relationship Between Estimated Resistance Training Proximity to Failure, Strength Gain, and Muscle Hypertrophy: A Series of Meta-Regressions https://doi.org/10.1007/s40279-024-02069-2

Training to Failure(失敗までのトレーニング)とは?

筋トレの追い込み度合いに関する概念として、Training to Failure(失敗までのトレーニング)があります。

Training to Failureとは、あるセットにおいて、限界まで追い込むことを意味し、通常は重りを持ち上げるコンセントリック局面ができなくなるまで行うことを指します。

例えば、ベンチプレスでバーベルやダンベルが挙がらなくなるまで実施した場合、それはTraining to Failureと評価されます。

アメリカ・ニューヨーク市立大学リーマン校(Lehman College)のブラッド・ショーンフェルド教授らの研究グループは、2022年にTraining to Failureの有無が筋トレの効果に与える影響を調べたメタ分析を発表しました。

その分析結果によると、筋力向上や筋肥大において、Training to Failureの有無はトレーニング効果に関係しないことが分かりました。

筋トレは限界まで追い込むことで効果が高まるというイメージがありますが、この結果はその見解を否定するものです。

筋トレは歯を食いしばって、出来なくなるまで追い込まなくても効果が得られる
筋トレは歯を食いしばって、出来なくなるまで追い込まなくても効果が得られる / Credit: Canva

ショーンフェルド教授らは、分析対象となった研究の多くがある程度重い重量を使用していたことを踏まえ、中強度以上の場合にはTraining to Failureまで追い込む必要がない可能性を指摘しています。

ここでの中強度の目安は、1回しか持ち上げられない重量の60%以上です(例えば、1回しか持ち上げられない重量が100kgの場合、60kg以上)。

ただし、追い込み度合いの評価をTraining to Failureの有無で分析するアプローチには、極論過ぎるとの声もあります。

実際に筋トレをした経験のある方なら分かる通り、10回できる重量を5回で終わるのと、9回で終わるのでは、どちらもTraining to Failureではないと評価されますが、後者の方が主観的にはキツく、追い込んでいると感じられます。

この点を踏まえて、今年発表されたメタ分析では、Repetition in Reserve(RIR)という違った概念を用いて、筋トレの追い込み度合いとトレーニング効果との関係を調べています。

Repetition in Reserveとは、「あと何回繰り返せるのか」という余裕を示す概念です。

次のページでは、このRIRとトレーニング効果との関係について見ていきます。

次ページ筋肥大のためにはある程度追い込んだ方が良い

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