Training to Failure(失敗までのトレーニング)とは?
筋トレの追い込み度合いに関する概念として、Training to Failure(失敗までのトレーニング)があります。
Training to Failureとは、あるセットにおいて、限界まで追い込むことを意味し、通常は重りを持ち上げるコンセントリック局面ができなくなるまで行うことを指します。
例えば、ベンチプレスでバーベルやダンベルが挙がらなくなるまで実施した場合、それはTraining to Failureと評価されます。
アメリカ・ニューヨーク市立大学リーマン校(Lehman College)のブラッド・ショーンフェルド教授らの研究グループは、2022年にTraining to Failureの有無が筋トレの効果に与える影響を調べたメタ分析を発表しました。
その分析結果によると、筋力向上や筋肥大において、Training to Failureの有無はトレーニング効果に関係しないことが分かりました。
筋トレは限界まで追い込むことで効果が高まるというイメージがありますが、この結果はその見解を否定するものです。
ショーンフェルド教授らは、分析対象となった研究の多くがある程度重い重量を使用していたことを踏まえ、中強度以上の場合にはTraining to Failureまで追い込む必要がない可能性を指摘しています。
ここでの中強度の目安は、1回しか持ち上げられない重量の60%以上です(例えば、1回しか持ち上げられない重量が100kgの場合、60kg以上)。
ただし、追い込み度合いの評価をTraining to Failureの有無で分析するアプローチには、極論過ぎるとの声もあります。
実際に筋トレをした経験のある方なら分かる通り、10回できる重量を5回で終わるのと、9回で終わるのでは、どちらもTraining to Failureではないと評価されますが、後者の方が主観的にはキツく、追い込んでいると感じられます。
この点を踏まえて、今年発表されたメタ分析では、Repetition in Reserve(RIR)という違った概念を用いて、筋トレの追い込み度合いとトレーニング効果との関係を調べています。
Repetition in Reserveとは、「あと何回繰り返せるのか」という余裕を示す概念です。
次のページでは、このRIRとトレーニング効果との関係について見ていきます。