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「生きるための食欲」と「快楽目的の食欲」のバランスを取る脳回路を発見 / Credit:Canva,ナゾロジー編集
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「生きるための食欲」と「快楽目的の食欲」のバランスを取る脳回路を発見

2024.09.24 Tuesday

人間の「三大欲求」の1つである「食欲」。

この食欲には、2つの発生要因があります。

例えば、何時間も食事をしていないと、脳は必要に迫られて空腹の信号を出し、食欲が湧き上がります。

しかしそれ以外にも、私たちはお菓子やジャンクフードなど「楽しむために食べたい」という食欲を抱くことがあります。

空腹への対処は生物として重要ですが、快楽目的の食欲があまりに強くなってしまうと、私たちの健康を損なう恐れがあります。

では脳は、この2つの食欲をどのように調整してるのでしょうか?

最近、アメリカのベイラー医科大学(Baylor College of Medicine)に所属するヨン・シュウ氏ら研究チームは、マウスにおいて「空腹による摂食」と「快楽による摂食」のバランスを取る脳回路を発見したと報告しました。

この研究を発展させることで、人間が食べ過ぎて肥満になってしまう問題にアプローチできるかもしれません。

研究の詳細は、2024年8月7日付の学術誌『Nature Metabolism』に掲載されました。

Scientists uncover brain circuit that balances eating for necessity and eating for pleasure https://www.psypost.org/scientists-uncover-brain-circuit-that-balances-eating-for-necessity-and-eating-for-pleasure/
Distinct basal forebrain-originated neural circuits promote homoeostatic feeding and suppress hedonic feeding in male mice https://doi.org/10.1038/s42255-024-01099-4

「生きるために食べること」と「楽しむために食べること」

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空腹時には何か食べたくなる。生きるために重要なこと / Credit:Canva

私たちは、空腹になると何かを食べたくなります。

この欲求は、人間や動物が生きていくために欠かせないものです。

一方で、私たちが「食べたい」と感じるのは、それら必要に迫られた時だけではありません。

例えば、ケーキやチョコレートなどの「スイーツ・デザート類」、ポップコーンやポテトチップスなどの「スナック類」、ハンバーガーやフライドポテト、ピザなどの「ファーストフード・ジャンクフード」を食べる時です。

それら高カロリー・高糖質・高脂肪の食品は、単に空腹だから食べるというよりも、「楽しむ」ために食べられています。

この欲求は私たちの心をリラックスさせたり、ストレス発散に役立ったりと、精神的な健康面でいくらか効果的です。

ほとんどの人は、両方の欲求を経験しますが、バランスが崩れることも少なくありません。

このバランスが崩れると、体が栄養を必要としているのに食欲が湧かず、やせ細ってしまったり、快楽を求め続けて肥満になってしまいます。

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快楽目的の食欲が抑えられないと肥満になる / Credit:Canva

特に肥満は、世界中の人々が抱える健康上の問題です。

「なぜ私は、高カロリーなものばかり食べてしまうのだろう」と悩んでいる人も多いでしょう。

しかし、摂食行動を制御する神経メカニズムに関しては、ほとんど理解されていません。

そこで今回、シュウ氏ら研究チームは、マウスブローカ対角帯(DBB:Diagonal band of Broca)のニューロンに注目しました。

DBBは脳の下部に位置しており、これらのニューロンは、以前の研究から摂食行動との関連が認められています。

そして今回の研究では、オスのマウスのDBBのニューロンに光を当てて制御(活性化または非活性化)し、マウスの摂食行動にどのような影響があるか観察しました。

さらに空腹時や高脂肪・高糖質食品を与えている時に、DBBのニューロンがどのように活動しているかリアルタイムで追跡しました。

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